Fate/stay night
1110話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
バーサーカーと戦った日の翌日、予想通りというか何というか、凛が起きてきたのは午前9時を回った頃だった。
いや、昨日寝た時間を考えると、寧ろこの時間で起きてきた方が立派なんだろう。
ただ……いつものようにゾンビの如くユラユラと揺れながら居間に入って来た凛だったが、そこからがこの2日間と違った。
いつもであれば、俺がそこにいるのに気が付いているのか、いないのか。学校のアイドルの猫被りはどうしたってくらいに不気味な動きで台所に向かうのに、俺の姿を見た途端に足を止めてこっちを凝視したかと思うと、やがて何を考えたのか顔が真っ赤に染まって台所へと走り去る。
ゾンビの如き移動速度ではなく、だ。
……何があったんだ?
もしかしてキャスター辺りから妙な呪いを受けたりしたんじゃないだろうな?
俺の魔力を凛にパスを通じて流している以上、呪いとかはそう簡単に受けたりしない筈だが……
「凛、大丈夫か?」
もしキャスターからの攻撃であれば色々と危険だ。そう思って、台所の方に声を掛けたのだが……
「来ないで!」
鋭い叫び声が台所の方から戻ってくる。
「凛?」
「大丈夫、大丈夫だから、もう少し待って頂戴。すぐにそっちに行くから」
「……身体に何か異常はないんだな? キャスターの攻撃を受けたとかじゃなくて」
「ええ、それは大丈夫よ。心配してくれてありがと。少し夢見が悪かっただけよ、夢見が……ね」
「夢見? まぁ、身体に影響がないならいいんだが……」
台所の凛に言葉を返しつつも、凛の様子に首を傾げつつ居間の方へと戻るのだった。
「で、街に出てきた理由は?」
「当然敵のサーヴァントを探す為に決まってるでしょ」
そう告げる凛は、朝に起きてきた時のおかしい様子は既に感じられなくなっていた。
あれから20分程が経って居間に戻ってくると、確かに元に戻っていた。
まぁ、微妙にその影響が残っていたりするところもあるけど、こうして普通にやり取り出来るのを考えると、特に困ってはいない。
「ランサー、バーサーカー、セイバーとは遭遇したから、残るのはライダー、アサシン、キャスター、アーチャーか。俺がこっちに出てきている以上、未接触のサーヴァントはどうなるんだ? この中の1つのクラスが聖杯戦争に参加していないのか、それともマスターが1人増えて、8人での聖杯戦争になるのか」
「うーん、その辺は微妙ね。ただ、恐らく前者じゃないかしら。聖杯がマスターに与える令呪の数を考えると……」
首を傾げる凛は、その黒髪を手で掻き上げながら告げる。
「だといいけどな。そっちの方が楽だし」
勿論戦って負けるつもりは全くないが、戦いの数が少なければ少ない程にこっちの消耗は少なくて済む。
…
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ