第10話 悪夢はふと訪れる
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打ち込んだ、速すぎて一瞬何が起きたのか分からなかった。
周りの男達もそれを見て戸惑ったのか動きが止まる、リィンはその隙を逃さずに一人の男の首に回し蹴りを喰らわした。
「このガキ、戦い慣れてやがる!」
「カテジナ様、いかようにすればいいですか?」
「相手は猟兵王の息子だ。迂闊に近寄らずに飛び道具で動きを封じろ」
男の指示で奴らは体勢を立て直しボウガンを取り出して撃ってきた。
「くっ……!」
リィンは刀でボウガンの矢を叩き落すが数が多い。しかもわたしを背負っているから動きにくい為、矢が彼の体を掠めていく。
その時わたしの背後から矢が飛んできたが、わたしは矢に気がつけなかった。
「!?ッフィー、危ない!」
ドスッ!
リィンの左腕に矢が刺さる、わたしを庇ったからだ……!
「そのまま畳み掛けろ」
ヒュン、ドスッ、ドスッ!
「ぐあッ!?」
「リィン!」
リィンの肩や足に矢が突き刺さる、このままじゃリィンが…
「リィン!わたしの事は気にしないで戦って!このままじゃ……」
私は必死でリィンにそう訴えるが何だかリィンの様子がおかしい。
「リィン、どうしたの?リィン!」
「体が動かない。痛みを感じないんだ……」
「えっ……?」
リィンは体を動かそうとするが動きが鈍い、これってまさか……
「このボウガンの矢にはヘルラビットの毒が塗られている。針が刺すような痛みが走り徐々に動けなくなっていくんだが……中々頑丈だな、まだ意識があるとは」
毒!?そんなものまで使ってくるなんて……どうしよう。リィンは動けないし周りは囲まれている、絶体絶命で逃げ場が無い。
「フィー……聞こ…え…てる…か?」
リィンが話しかけてくる、毒のせいで喋るのも辛そうだ。
「リィン!?無理したら……!」
「僕…がす…きを作る…だか…ら…逃げ…ろ!」
な、何を言ってるの!リィンを見捨てろって言うの!?
「そんな、貴方をおいて逃げるなんて出来ないよ!」
「猟兵は……常に…最悪の状況を…想定する。ここで…二人が…捕まったら…助けも呼べない、逃げて…団長を…呼んで…さっき渡した導力器…使えるだろ?…それで…」
「でも……」
「行くんだ…!これは…君に…しか出来…ない…事だ…!」
確かにわたし達の通信機には緊急時に皆に通信が行き届く専用のコールがある、でも今から呼んでも団長達も直にはこれない、リィンは囮になる気じゃ……
シャラシャラッ、ガキィッ!!
リィンの身体に鎖が巻きついた。
「何をコソコソ話しているんだ
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