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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第10話 悪夢はふと訪れる
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「貴方は一体誰ですか……?」
「名を知る必要はない、リィン・クラウゼル」


 リィンの名前を知ってる、この人は一体何者……?


「僕の名を知ってるということは猟兵の関係者か?」
「いいや違う、でもお前の名は知ってる奴は裏の世界では多い。あの『猟兵王』の息子なんだからな」


 男が指を鳴らすと周囲にフードを纏った集団が現れてわたし達を取り囲んだ。


「喜ぶがいい、お前は選ばれた。新たなる進化へと至る為の『人柱』にな」


 こいつら、リィンを狙っている……理由は分からないけど人柱なんて言ってる以上碌な理由じゃない!


「小僧は捕らえろ、小娘は殺すなり犯すなり好きにしろ」


 フードを纏った集団は懐から得物を取り出した。


「フィー、僕の背中にしがみ付け。何があっても絶対に離すな!」
「う、うん!」


 わたしは直にリィンの背中にしがみ付いた。実戦経験の無いわたしでは戦えない、護身術は習ってるがあくまで緊急時に使うぐらいで、こうやって取り囲まれた状況ではわたしは逃げる事も出来ない。
 もし団長達もいない時、このような状況になったらわたしはリィンの背中にしがみ付く、人質にされないようにする為だ。
 だがこれは最善の手じゃない、寧ろ悪手だ。リィンにしがみ付く事で彼の動きは制限されてしまうからだ。


(わたし、リィンのお荷物になってる……)


 何も出来ない自分が歯がゆい、さっきまでの幸せな気持ちなんて既に無くなっている。そもそもわたし達は猟兵王、ルトガー・クラウゼルの息子達……こんな風に狙われるのは想定していた。わたしがリィンを心配させたせいだ、それに何でわたしは奴らの気配を読めなかったのか。全部わたしのせいだ……


 ポンッ……


 そうやって自己嫌悪するわたしの頭をリィンは優しく撫でてくれた。


「フィー、君は悪くないよ。本来なら猟兵である僕が周囲を警戒してなくちゃいけなかった、でも僕は奴らに気づけなかった。これは僕の落ち度……だから君は悪くない」
「リィン……」
「大丈夫……何があったってフィーは僕が守るよ」


 リィンは鞘から刀を抜き奴等に切先を突きつけた。


「僕だけならまだしもフィーに危害を加えようものなら………容赦はしないぞ?」


 ゾワッ……リィンの雰囲気が変わる、さっきまでの優しい雰囲気は消え猟兵の冷静で冷たい雰囲気になった。


「ほう、子供ながら中々の殺気を放つな……捕えろ」
『はっ!』


 シュババッ!!


 男の合図と共に奴らは一斉に襲い掛かってきた。リィン、危ない!


「はあッ!」


 ズドムッ!


 リィンは一番近くにいた男の顔面に膝蹴りを
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