第10話 悪夢はふと訪れる
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だ」
「リィンってよく本を読んでるけど何を読んでるの?」
「さすらいの旅人が色んな国に行って悪に苦しめられる人々を救うヒーロー物だよ。タイトルは『アドル戦記』っていうんだ」
「何だかリィンみたい」
「え、僕はヒーローじゃないよ?」
何気ない談笑を楽しんだりと、とにかく時間も過ぎるのを忘れて遊んでいた。
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「もうすっかり日が暮れちゃったね」
楽しい時間はあっという間に過ぎ去ってしまい、気がつけばもう日が沈みかけていた。
「うん……」
本当にあっという間だったなぁ、もっとリィンと過ごしていたかったけど我侭を言ったら駄目だよね。
ションボリしたわたしを見て何か考えていたリィンが、突然私の手を握る。
「ねえフィー、列車が来るまでまだ時間があるし少し散歩でもしない?」
「リィン?」
「僕ももう少しフィーと一緒にいたいし……駄目かな?」
リィンの言葉に私は胸がいっぱいになりそうな感覚になった、もしかしてわたしの思いが通じたのかな?だとしたら嬉しい。
わたしはリィンの提案を快く受け入れてケルディック街道に向かった。
−−− ケルディック街道 −−−
「綺麗だね」
「ん……」
広大な麦畑が沈んでいく夕日の光に照らされて紅く染まっている、とても綺麗な光景にわたしは目を奪われていた。
「リィン、今日はありがとう」
「気にしないでよ、最近はフィーに構ってあげられなかったからこのくらい当然だよ」
リィンが微笑んでわたしの頭を撫でてくれる、いつも撫でてくれるリィンの手はいつもより暖かく感じた。
「……良かった」
「えっ?」
「フィーが元気になって良かったってこと、今日のフィーは何だか元気が無かったから心配だったんだ」
「……心配かけてごめんなさい」
「そんな、謝らないでよ。フィーが笑ってくれれば僕は嬉しいから」
ドキッ……まただ、リィンの顔を見てるだけでこんなにも心臓がドキドキする。彼がわたしを思ってくれているのがたまらなく嬉しい。
「そろそろ列車が来る時間だね、戻ろうか」
「……うん」
楽しい時間、終わっちゃったな……
「フィー、また一緒に出かけよう」
「……ッ!うん」
そうだよね、またこれるよね。リィンと二人で……いつだって一緒にいるんだから。
「……リィン・クラウゼルだな?」
……誰?さっきまで気配もなかった場所に白髪の男性が立っている。いつの間にいたんだろうか?
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