第10話 悪夢はふと訪れる
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side:フィー
「あれ、ここはどこ……?」
気がつくとわたしは真っ暗な空間にいた、辺りは闇で覆われて音もしない。
「誰もいないの?」
団長やマリアナ、それにゼノやレオ…西風の旅団の皆の姿が無い、そして……
「リィン……?」
わたしの兄であり大切な人……リィンも見当たらない。
「リィン、皆……どこにいるの?返事をしてよ……」
いくら歩いても誰も見つからない、唯暗い闇だけが辺りを包んでいた。
……怖いよ、また一人ぼっちになっちゃったの?皆と出会う前のわたしに戻っちゃったのかな……皆に会いたいよ。
「ん、あそこにいるのは……」
前も分からない空間を歩いていたわたしの目の前に人影が見えた。微かに見える黒髪に黒いジャケット、腰に刀をさした私より少し年上に見える男の子のようだ、あれは……
「リィン!」
間違いない、あの後姿はリィンだ。良かった、彼もこの空間に迷い込んでいたのかな?とにかく早くリィンと合流しないと。
わたしは一目散に走り出した。
「リィン!待って……リィン!」
おかしい、どれだけ走っても彼に追いつけない。それどころかわたしは走ってるのに歩いているリィンとの差が縮まらない、それどころかどんどんと離れていく、声を掛けても止まってくれない。
どうして……どうしてリィンに追いつけないの?いや、お願い。行かないで……
「わたしを……わたしを一人にしないで、リィン―――ッ!!」
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ーーー
ガバッ
「……はッ!?」
あれ、ここは団のアジト……?
辺りをキョロキョロと見渡すとそこは西風の旅団のアジトの一室だった、良かった、さっきのは夢だったんだ。
「そうだ、リィンは……!」
わたしは直にベットから飛び起きて彼が寝ているベットに向かう。リィン、いるよね、夢みたいにいなくなったりしてないよね……
そしてリィンが寝ているベットを覗き込む、そこには……
「すぅ……すぅ……」
寝息を立てて幸せそうに眠るリィンの姿があった。
良かった、やっぱりさっきのは夢だったんだ……あれ、安心したら涙が出てきちゃった。
「んん……あれ、フィー……どうしたの?」
リィンが目を擦りながら起き上がる、わたしはポスンッと彼の胸に頭を預けた。
「フィー?どうしたの、何だか泣いてるみたいだけど……」
「ううん、何でもないの、少しだけこうさせて……」
「う、うん、よく分からないけどいいよ」
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