本編 第二部
「神になれなかった哀れな存在」
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って」
「何て名前でしたっけ」
「アカデミアとかなんとか」
「そうそう、外国にあるんだろ」
「知識をいろんな国が共有できるように太平洋の真ん中に人工島を作って立てたんだって」
「へえ、じゃあ、みんなもそこへ」
「うん、なんかパンフレットみてワクワクしちゃった。経済や市場なんかも土地自体がまだまだ発展途上だから本物の市場を使った経済学が学べたりとかすごく先進的なことやってるんだよね。それにいままでの科学技術で
人の個々の可能性なんかも研究されるらしいですよ?」
「わたしのドルイドや古くから伝わる知恵も
再検討されて専門の学科ができるらしいの」
「細川さんならその学科の学院長になれるよ」
「それだけじゃないよ、いろんなスポーツや武術の発展にも貢献しているのよ、わたしは剣道。伊佐さんと賢治さんは天源流の総師範として入学するみたいだし。天光さんはその指揮能力を買われて新しくできる政治学の特別講師に選ばれてるの」
「私が教えるからには各国の政治をよりよく運営するための次世代の指導者を育ててみせますわ」
「でも私はどうなるんだろう、みんなみたいにすごい才能があるわけじゃないし、馬鹿力だけが取り柄なのに」
「なにいってるんです。明日香さんは次期オリンピックの正式選手じゃないですか学園ではもうみんなあなたの話で持ち切りですよ、どうしてあんな怪力ができるのかって運動能力だけでいえばどんな科目の選手にもまけないし」
「まあ、スポーツで負けたことは一度もないけど」
「胸を張ってください明日香さん、あなたが一番イレギュラーなんですから、黙示録の獣と赤き竜を倒した唯一の人物なんですから」
「そういえば、水が届かない荒れた国に運河やろ過した水を流す上水道の研究もやってるんですよ。水が届けば緑が復活する、そしたら戦争もなくなるんじゃないかって」織花さんもなんだか、あれからすこし堂々とするようになった。
「そう、それならお母さんは安心だわ」
「さあ、そろそろ、婚礼のキスだネ、みんな
注目ネ」
伊佐と賢治は大観衆を見て、ひそかに手をつないでいる。
「なあ、伊佐」
「うん、なんだ賢治」
「こうしていると本当に人生っていいなあって思う、こんな世界に産んでくれた神様には
やっぱり感謝だな」
「それはこっちのセリフだよ、じゃあ、いっちょやろうか」
「あ、ああ」
伊佐は賢治のちょっと赤くなった顔に唇を奪った。
観衆は大盛り上がり。
拍手が消えないまま、結婚式は晩餐会へ移行していった。
そのときだった、一匹の蝶が会場の上を飛んでいるのをかすかに賢治は見た気がした。
そして微笑んで、伊佐の体を抱きしめた。
まら観衆から拍手があがる。
神様もときには気の利いたことをするらしい。
おしまい
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