本編 第二部
「神になれなかった哀れな存在」
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いという苦しみより、むしろなにもすることがないという苦しみだと思う。俺らは出ていかなければいけないんだ。外の世界へ、つまりここではないどこかだ。
そしてこの先に待つ相手にもまた会わなければならないんだ。この先にいるのは人間が敵とみなせる存在じゃない。神のみが相手ができる存在だ。伊佐お前の中にある神の器を使ってここに神を呼ぶんだ。この空間はどこまでも広がっている。そしてここから先、常人では進むことさえ困難だ。伊佐の両親と友恵はここで待機してほしい、島、お前は神だからそばにいてほしい。俺たちは信じるんだ」
「信じる?」
「そうだ、信じる力こそが神の道なんだ。祈りや瞑想、禅や巡礼それらは信じるという人間の根源的な最大の神への賛歌が必要なんだ。
信じよ、みんな、伊佐の両親と友恵、どうか祈っていてほしい、それも半端な祈りじゃだめだ俺たちを本当に神の加護を与えてくれるほどの祈りが必要だ。今世界は試される。人々が信じる心を忘れていなければ、神は人をお見捨てにはならない。さあ、世界の人々よ、
信じよ、悔い改めよ、己と己の友人と己の家族そして隣人を信じよ、今、沈黙するべきときではない。すべての経典に書いてあるとおり神はおわす、信じる神を違えどもその心は同じだ。人としてより良く生きる。この世に神などいはしないとそう仕向けるのが混乱を起こそうとするのが神に対する者たち、つまり悪魔の魂胆なんだ。やつらは人が信じるという行為をすることを恐れる。なぜなら信じてみるだけであらゆる疑問に答えは出ずとも悩むことを捨てて今の自分に必要なことをできるからだ。信じて祈ってください!わたしごときが神をかたるのは千年早いがそれが唯一の最大の恩恵なのだ」
賢治の言葉がいろんな言語となって広がっていくのが感じられた。まばゆい光に世界中の人々が目の前で起こっている悪魔と神獣との闘いに沈黙をしていたとき、その声はもたらされた。
そして賢治は言った。
「行こう、伊佐」
「ああ、賢治」
「わても忘れないでえな」
「わたし、信じるよ!」
「友恵」
「正直、神様なんてインチキに思えるけど、なにも信じず疑ってばかりいる人生ってなんかとてもいやだもの。それに他ならない二人のためですもの。わたしは信じる!」
「あらあら、私たちはいつだって信じているわ、だって私たちの子供なんですもの、そう、人は誰だって誰かの子供、きっと神様はいうわ、お前は私の子、愛すべき子らなのだ」
「正直、信心深いほうではねえけどな、だけど信じるか、たしかにそれが一番いい。疑って疑って迷い悩むより信じてしまったほうがいい」
「いってきます、お父さん、お母さん」
「おう!」
「ええ!」
二人と一匹は歩いた、しばらくしてものすごい重圧が押しかかる。
そしてさきほどの織花憑りついた者のような上位にいる者たちが
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