本編 第二部
「神になれなかった哀れな存在」
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「あ、ああ、あ」
ボン!そしてまた人間の姿にもどる。
「島、おまえほんとに神様だったのか!」
「遅いんじゃ、ボケエ!だからなんべんもいうたやないか。もう賢ちゃんに恩があるからここにいるんやて」
「すごいわ、賢治さん、神様にも知り合いがいるんですね」
「伊佐のおっかさんも、そこでそういうボケた反応はやめてぐださい。ほんまに泣きますよ、わて」
「いやでもかなり戦力になるかもしれん、おまえどんなことができるんだ」
「なんでもできます!神様なんです。わては!」
「ほう、じゃあ試しに狐火でもだして道を照らしてくれ」
「そんなん、かんたんやがな」
島が口に手をやり、道の先へ息を吹きかける、ボボボとこの巨大な回廊に青い炎の列ができる。
「わての狐火はほんとの火やないからこの空間の酸素をなくすことはないから、ちょうどええやろ、そうや、わてが、大狐に変身して、この道あんたら乗せて走ってもいいで?」
「おお、それは時間短縮になるな、それにしても今外はどれくらい時間がたったんだろう。空母の方ではとっくに戦いは決着がついてるはずだ」
「それやったらここにきてから一分も外の世界は時間経っておまへんで?」
「え、なんで分かるんだ、高次」
「それはよりしろのわいの稲荷神社にわいだけならいつでも戻れるからや」
「え?」
「なんですって?」
「は?」
「おまえええ!それを早くいええええ!」
「え?何このリアクション」
「それだったら地上から飲水とか食い物も運べるだろ!」
「ま、まあできんことはないけど、なんや神様を食料調達につかうんか」
「あんな、今生きるか死ぬかの非常時なんだよおおお!それぐらい気づけええ!何のために服を俺が割いてまで明かりつけてると」
「そうかあ、そないにピンチやったんやな、まっててやいまごちそう調達してきたる」
そういってまたボン!煙が立ってまたちょっとたってボン!と島が現れる。
「もぐもぐ、うんやっぱりおいしいわあ」
「うん、あんまり食ったことなかったがな。だが、気に食わん」
「どうしたんや?賢ちゃん」
「飲み物はともかくなんでおいなりさんなんだよ」
「い、いや、わしこれが大好物やし、一応捧げ物だし、粗末にしたらあかんな、と」
「これ、捧げ物なの」
「あんなー、わては神さまやで人間やないんやからお金はお賽銭が唯一の収入源なんや、それでごちそうといったら293円のこの特安おいなりしかないやろ、それに今回は地元の人に奮発してそれぞれのお願い全部叶えてきて、それでやっとあつめたんやで?」
「島は神さまでお稲荷様だがたいして役にはたたない。食い物と飲み物はだせるがそれはおいなりさんに限定される、あと狐火がだせてとりあえず暗闇でも落ち着けるがなんでもできるわけではない。はい、みなさんここ試験に出るよ―」
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