第1章:平穏にさよなら
第8話「“夢”と熱」
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憎しみ...様々な感情と共に溢れ出して行く。
「■■■は...!■■■は!!」
彼を抱きしめるように私は悲痛の叫びをあげる。その運命を呪うように。認めたくない現実を怨むように。ただただ涙を流した。
「....もう、いい。」
集まってきた人達が、“私”に向けて魔法を放ってきた時、“私”そう呟いた。
「....もう、いいよ。皆...ミンナ、壊レチャエ!!」
膨大な魔力が解き放たれた。
その魔力は、“私”に向かってきた魔法を消し去るだけでなく、集まってきた人たちを全員消し去る程までだった。
「アハ、アハハハハハハハハハハ!!」
狂った。そう、昨日の私のように、夢の中の“私”も狂った。そして、嗤っていた。狂って、嗤って、それでいて、涙を流していた。
―――まるで、愛しき人を亡くした事を、後悔するように。
「―――っ....!!?」
飛び起きた。それはもう、被っていた布団が吹き飛ぶくらいに。
「はぁ...はぁ...ゆ、夢....?」
そう、夢だった。...とびっきりの悪夢とも言える程、哀しい夢だった。
「なんで...あんな夢を....?」
怖かった。悲しかった。辛かった。そして、何よりも...。
「―――悔しかった。」
夢の中の“私”が、彼を失った事が、何よりも悔しく思えた。
「...お兄ちゃんに、似てたからかな...?」
夢の中の彼が、あまりにもお兄ちゃんに似ていたから、私も悔しく思ったのだと思った。
「っ....。」
体がふらつく。夢の影響だろうか?そう思って私は額に手を当てた。
「あ、熱だこれ。」
...ただの熱だった。
=優輝side=
「...40,2度...とんでもない高熱だな...。学校は休むか。」
緋雪の熱がとんでもない事になった。
「ごめんね...。お兄ちゃん...。」
「...いや、別に緋雪は悪くないさ。でも...。」
「お兄ちゃん?」
歯切れ悪くする僕に緋雪が心配してくる。
「...僕も、熱が出てるんだよな。」
「...えっ?」
39,1度。さっき測った結果がこれだった。
「兄妹揃って風邪を引くとは...ついてないな...。」
とりあえず、学校に連絡しておこう。
トゥルルルル
【はい、こちら私立聖祥大附属小学校です。】
「すみません。5年2組の志導優輝です。4年1組の志導緋雪と共に高熱が出てしまったので今日は休みます。」
【
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