第二百二十五話 馬揃えその十四
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「百鬼夜行もおってな」
「あやかしの話も多く」
「そして霊の話もですな」
「都には実に多い」
「それ故に」
「まつろわぬ者を入れぬ結界がこれでもかと張られておるが」
それでもだというのだ。
「それを潜り抜ける様にしてな」
「そして、ですな」
「百鬼夜行や様々な者が出入りしている」
「まつろわぬ者達が」
「それが、ですな」
「お気になりますか」
「実際に天海や崇伝の様な者達がおった、あの者達は間違いなく妖僧じゃ」
僧侶でもというのだ。
「まともな者達ではない」
「ですな、あの者達は」
「その出自も知れませぬし」
「天海は百二十歳とか」
「有り得ぬ歳です」
「その歳の話も怪しいがな」
それでもとだ、信長も言う。
「それでもな」
「はい、ですな」
「それ以上に怪しい」
「妖僧に相応しいものがありますな」
「あの者も」
「全くじゃ、ああした者達が入り幕府を操り公方様を惑わせた」
義昭、彼をというのだ。既に寺に入り隠棲している。
「ああした者達も現に入って来たからには」
「都をですな」
「目を離すべきではないですな」
「他にも気になる場所があれば御主達のうちの誰かを送る」
まさにその場所にというのだ。
「よいな」
「わかっております」
「ではその時はお命じ下さい」
「是非そこに行かせてもらいます」
「上様の仰るままに」
「頼むぞ、とかく手は打つ」
ありとあらゆる手をというのだ。
「しかし今はこの安土で天下を見る」
「畏まりました」
「さすれば」
「いざという時は」
「我等もすぐに動きます」
「上様のお言葉の下」
「天下の為に」
「そうせよ、それぞれの領地の動きにも目を光らせよ」
彼等を任じたその地にもというのだ。
「よいな」
「では」
「そちらも」
家臣達も応える、信長は今は動かないがそれは眠っているのではなかった。相手の動きを読んで待っているものだった。天下は一つになったがそれで真の泰平が訪れるかというとそれはまだ先のことであった。
第二百二十五話 完
2015・4・27
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