第二百二十五話 馬揃えその十三
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「この天下をまた戦乱に覆い流れる血を飲もうぞ」
「ですな、では」
「まずは徳川を」
「あの家を」
「乱す」
こうしてだった。闇の中でのやり取りを経てだった。
闇がまた動きはじめた、このことは誰も知らなかったが馬揃いを終えて安土に戻った信長は主な家臣達に告げた。
「さて、あの者達がどう動くかわからんが」
「それでもですな」
「どう動いてもですな」
「打つ手は考えている」
「では今は、ですか」
「ここで状況を見る」
「そうしますか」
「そうじゃ、あの者達は馬揃えを見て慌てておる」
信長はこのことを確信していた、馬揃えの後で。
「必ず仕掛けて来る、この天下にな」
「では天下全土をですな」
「今は見る」
「そのうえで動く」
「そうするのですな」
「そうじゃ、ここは動かず見てな」
そしてというのだ。
「異変が起こればな」
「そこに対して動く」
「そうしますか」
「そうじゃ、しかし軸はこの安土に置く」
このことは忘れないというのだ。
「拠点をおろそかにしてはならん」
「その拠点を奪われる」
「だからですな」
「安土に拠点を置いたまま」
「そのうえでことに対しますか」
「その者達に対して」
「その通りじゃ、ここはしかと安土は固める」
拠点である安土をというのだ。
「そして都もな」
「帝もお護りする」
「朝廷もですな」
「そうじゃ、しかし都の中からも目を離さぬ」
「はい」
すぐにだ、都を預かっている信行が応えた。
「都の中は常に見ています」
「既に幕府のこともあり得体の知れぬ僧兵達も出て来たな」
「あの天海と崇伝もまだ見つかっておりませぬし」
「都は昔より様々な話がある」
それこそというのだ。
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