巻ノ十五 堺の町その三
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しかしだ、その清海に筧が言った。
「向こうは同じと思ってはおらぬ」
「耶蘇教の方はか」
「うむ、自分達の神だけが神と思っておる」
「日蓮宗と同じか」
「あんなものではない」
他の宗派を攻撃する日蓮宗なぞ比較にならないというのだ。
「日連宗なぞ優しい位じゃ」
「あの日蓮宗でもか」
「そうじゃ」
「そこまで凄いのか」
「他の神仏を認めず神社仏閣を壊し」
そしてというのだ。
「僧侶も神主も追い出す」
「そんな教えか」
「そうじゃ、しかもな」
「信者を増やして国を乗っ取りにかかるのか」
「そう考えておる坊主も多い」
耶蘇教にはというのだ。
「だから厄介なのじゃ」
「そうなのか」
「そうじゃ、だからな」
それでというのだ。
「あの教えは厄介なのじゃ」
「そうなるか」
「そうじゃ、気をつけておくのじゃ」
「わかった、わしはこれまで耶蘇教のことはよく知らなかったが」
「わしもじゃ」
猿飛も眉を顰めさせて言う。
「耶蘇教は珍しく好きじゃったが」
「何事にも光と影があるということか」
望月もこう言うのだった、猿飛と同じ顔になって。
「耶蘇教についても」
「坊主もいい坊主と悪い坊主がおるしな」
ここでこう言ったのは穴山だった。
「わしも気をつけるか」
「そう思うと清海はずっとましじゃな」
由利は清海を見て言った。
「そうしたことはせぬからな」
「わしはそんなことはせぬぞ」
清海はその由利にこう返した。
「間違ってもな」
「そうじゃな、神社を壊したりせぬな」
「神社の境内で飲むことはする」
それはあるというのだ。
「しかしそれは普通であろう」
「祭りの時はな」
「それはあるが」
しかしというのだ。
「わしもそうしたことはせぬ」
「そうじゃな」
「うむ、耶蘇教にも気をつけるか」
「そうするとしよう。ただ性質のよい耶蘇教の坊主とは話をしたい」
是非にとだ、こう言ったのは幸村だった。
「性質が悪い耶蘇教の坊主は気をつけねばな」
「ですな、では殿」
あらためてだ、海野が幸村に声をかけた。
「堺の町中にも入りましょう」
「それではな」
こうしたことを話してだ、そしてだった。
一行は堺の町の中を見て回った、そうして色々な店や行き交う人をこれまで巡った町でした時の様に楽しんだ。
そしてだ、その中でだった。
幸村は一行にだ、こう言った。
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