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異世界系暗殺者
逆鱗の時間(2016/05/16 一部修正)
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先生達を半殺しにしないと、鷹岡を殺せず、お前を守れない。

そんな思いを視線に込めながら有希子を見つめると、有希子は涙を流しながらただ無言で首を横に振った。


「………ッ!」
「……………」


背中に抱き着きながら涙する有希子に俺が呆然としていると、今度は両腕に衝撃が走った。衝撃の走った所に視線を向けると、日本刀を持っている右腕には律が、左腕には矢田と速水が拘束する様に抱き着いていた。

右腕に抱き着いているのが律なのは、彼女がA・T技術を駆使して生み出されたガイノイドだからだろう。その関係で律は成人男性以上の力を有している

よくよく見てみると、両足にも棘の正規実用型疑似玉璽(プロダクション・サブレガリア)の棘の鞭が巻き付いている。これは片岡か?委員長らしいといえば委員長らしい行動だな。

さて。両足は兎も角、有希子達はどうしたものか。女を力任せに振り払うなんて、基本的に俺の矜持に反する。俺がそんなことを考えながら視線を鷹岡のいる所に戻すと、いつの間にか目の前に渚が迫っていた。


「!!?」


そして、動くに動けない俺に対して渚は、猫だまし―――いや、クラップスタナーを放ってきた。別に渚自身は狙ったつもりではないだろうが、偶然にも渚の放った猫だましはクラップスタナーになりえた。

視線を戻した直後、目の前に現れた渚。一瞬とはいえ、俺の意識の波長は最も敏感な山を迎える。その瞬間に放たれた猫だましはクラップスタナーにまで昇華されたという訳だ。

クラップスタナーの効果により、俺は時の(トリック)を使われた時の様に体の自由を奪われる様な感覚に襲われる。が、その感覚に体が支配されるより早く、俺の身体は本能的に体の自由を取り戻す為に動いていた。

俺は無意識に口内を噛み切り、その痛みで神経の麻痺を逃れたんだ。そして、暗殺者としての本能がそのまま渚を狙う。

右腕に抱き着いて拘束している律と背中から抱き着いている有希子をものともせず、無意識に上半身のバネだけで渚に突きを放とうとする俺。

そんな俺を止めたのは烏間先生の石の正規実用型疑似玉璽(プロダクション・サブレガリア)から放たれる水晶振動周波(クリスタル・クォーツ)による振動だった。あと数mmで日本刀の(きっさき)が渚に刺さるという所で俺の身体は硬直した。

そして、完全に動けなくなった俺に対して、長距離ジャンプを行った悠馬がそのまま俺の顎目掛けて蹴りを放ち、その衝撃で頭を揺さぶられた俺は意識を失った。



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