三十七話:ご先祖様と日常
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でもあるな)
(…………どゆこと?)
本物と思われるリヒターからの念話にジークが質問攻めにするが対するリヒターは顔は見えないが困っているのが分かる小さな声で話す。
ジークの方は相手が何を言っているのか分からず眉をひそめ『俺であってご先祖様』な人物を見つめる。
手持ち無沙汰な様子を見ても自分と話しているようには見えない。
一体全体どういうことなのかますます混乱するジーク。
(まあ、そっちは話すと長くなるから詳しくは後で話す。簡単に言うと俺の中に二つの人格があっていつもとは違う方が出ているって感じだ。正確には違うがな)
(……取りあえず今目の前におるのは私のリヒターやないんやな?)
(ああ、今はその認識でいい)
(そっか……よかったわ)
人を斬り伏せたのが想い人でないと分かりホッと胸を撫で下ろすジーク。
しかし、それと同時に彼が殺されていたかもしれないという恐怖が今更のように湧き上がり全身の血が冷たくなる。
リヒターの言うご先祖様が居なければ今あそこに倒れているのは間違いなくリヒターだった。
そう思うと先程まで助けようとしていた犯人に憎しみすら覚えてしまう。
そして、そんな汚い自分に嫌気が刺して来る。
(……ク、ジーク聞いているか?)
(…ッ! ごめん、なんか言っとった?)
(結構重要なことだ。今のところご先祖様に体の権限を握られていて動けない。まあ、ご先祖様も戻れないという可能性もあるが……)
(うわっ、それホンマかいな……どないしよか。……ん? というかご先祖様って)
ご先祖様→死んでいる→つまり幽霊。
体の権限を握る→憑りつく→つまり呪い?
ジークの頭の中ではおおよそこのような考えに至り一人顔を青ざめさせるのだった。
(お、お祓いに行かな、リヒター!)
【人を悪霊扱いするでない。エレミアの小娘】
(で、でおった!? 私も呪われるー!)
(控えめに見ても今のご先祖様は悪霊だろ)
【またみねうちの刑に処すぞ?】
(これを悪霊と言わずに何と言うんだ)
繰り広げられる念話によって先程までの緊張感はどこかに行ってしまう。
やはり我のこ奴らは空気クラッシャーだと思うどこかの王様だった。
しかし、その間に犯人の男の病院への搬送も終わりスバルが二人、正確には三人に声を掛けてきた。
「さてと、ちょっとお話を聞かせてくれるかな。と、その前に名前を教えてくれないかな?」
「ジ、ジークリンデ・エレミアです……」
「君の名前は?」
笑顔で尋ねてきたスバルにジークが噛みながら伝える。
そして次に渦中の人物であるリヒターに声を掛ける。
彼は少し悩んだ末に答えた。
「エクスヴェリナ・V・ノルマン」
(
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