2部分:第二章
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「主としてな」
「主であるのか」
行間は狸の頭の男の言葉に応えた。応えながら彼等の向かい側に座るのであった。形として確かに行間が客の形になっていた。
「左様。我等は既に長きに渡ってこの寺に住んでいる」
「だから主なのだ」
鶏の頭の男も告げた。
「客人」
鯉の頭の男が自分達の向かい側に座る行間に声をかけてきた。
「今宵は許してつかわす」
「今宵は?」
「左様」
今度は狸が言う。
「この寺に留まること。しかし」
「明日になれば去るがいい」
「ここは我等のもの」
鶏と狐が彼に告げる。8
「だからだ」
「わかったならば従うのだ」
「ふむ。これはおかしなこと」
しかし行間は彼等にそれを言われても全く臆することはない。平気な顔をしたままである。
「何故人が化け物、いや獣に従わねばならぬのか」
「むっ!?」
「我等が獣だと」
「その通り。その証拠に」
まず行間は鯉に対して言うのだった。
「貴殿の肩に着いているもの」
「肩に」
鯉はそれに合わせて自分の肩を見る。肩には鎧の肩当テがある。そこに着いているものは。
「水草じゃな。しかもまだ濡れている」
「それがどうしたのだ」
「貴殿は。この寺の南にある池の鯉だな」
「馬鹿な、そのようなことが」
「いや、わかるのじゃ」
行間はその声を険しくさせて述べた。しかしその顔は穏やかなままだ。
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