その22
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目の口調に、カカシは素直に承諾した。
信じられぬ事実はともかく、里が大変な事になっているのは、此処に来るまでに良く分かっている。
幾つもの建物が崩壊し、血の匂いと煙が里全体を覆っている。
ミナトが守っていた木の葉では考えられない事態だった。
だからこそ、カカシは三代目の決定には抗わず、受け入れた。
そうして、漸く僅かばかり三代目は笑みを漏らした。
酷く疲れ果て、色濃い疲労を滲ませた物だったが。
「何にせよ、今日1日はゆっくり過ごし、疲れを取るよう尽力せよ。明日からは里が落ち着くまで、苦労をかける事になろう。すまんな、カカシ。だが、里の為、今はこの決定に堪えてくれ」
そのらしくもなく力無い笑みに、ふと、ミナトは三代目にとっても掛け替えの無い存在だった事に気付く。
引退を考え始める程、ヒルゼンは老いた。
そうしてミナトに跡をまかせ、ヒルゼンは隠居したのだ。
そのヒルゼンが火影として再び采配を振るっている事こそ、ヒルゼンの齎した悪夢のような事が事実であると実感してきた。
どっと疲労が肩にのしかかる。
そうして、三代目の言葉に、荒れた里の姿が思い浮かんだカカシは、無言で頭を下げ、三代目の前を辞した。
休める筈も無いが、三代目の言葉に従う為に。
次代人柱力。
それが一体如何なる者か。
四代目の傍近くに居たカカシには、考えずともわかる筈だったのに、今この時、カカシにはそれを考える余裕もなく、運命の過酷さに打ちのめされる日々が幕を開けようとしている事に気付くこともできなかった。
そして、これが、カカシにとってのもう一つの始まりだったのだ。
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