その22
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に貫かれ、帰らぬ者に名を連ねてしまったのだ」
沈痛な表情と声音に、取り繕えない激情を込めながら、三代目火影であったヒルゼンは『事実』を口にした。
その正しさに、言いようの無い不快感を覚え、カカシは反論した。
「嘘だ!」
激情がそのまま口から飛び出はしたが、カカシはそれが嘘などではない事を知っている。
そもそも先代火影が、上忍に成り立てのカカシに、こんな酷い嘘を吐いてカカシを嵌める理由など存在しない。
そして、『火影』はそんな事を里人にしないとカカシは肌で知っていた。
この、火影の執務室で、沈痛な表情で腰を落ち着けていた三代目の姿に、つい先日のミナトの影を見出し、カカシはそれを、思い出していた。
そうして、思い出して行く毎に、手足に枷を付けられ、動き辛くなって行く心地がする。
胸が重く、抉られるような痛みが走る。
だが、認めねばならぬらしい。
認められずとも、仮定のままで、支障なく話を進める事もできる。
元々の素養もあったかも知れないが、カカシは忍として生きるうちに、仮面を被るように自らの感情に蓋をする事が出来るようになっていた。
そうして、そうせねばならない懸念が、四代目火影夫妻のごく間近にいたカカシにはあったのだ。
「……仮に」
「うん?」
カカシが渾身の力を込めた否定を叩き付けた後、沈黙を守り、カカシの二の句を待ち続けてくれた三代目が、言葉を促す。
その促しに乗って、血を吐くような遠い痛みと共に、漸くカカシはある懸念を口にした。
「仮にそれが本当だとして。クシナさんから抜け出た九尾は、今、何処に?」
もしも師が九尾を封印出来なかったのであれば、カカシがその任を引き継がねばならぬだろう。
それが、オビトから譲りうけたうちはの写輪眼を持つカカシの責任だ。
その気持ちでしか、その時は無かった。
短い熟考の果てに、三代目はカカシの問に答えを返した。
「ミナトは命と引き換えに、九尾の次の人柱力を選び、里を救った。火影としてな」
その言葉を聞いたカカシは、酷い安堵を感じ、深い、深い溜め息を吐いた。
やはり師は、優れた忍であったのだ、と。
どこか誇らしく、この救いの無い嘘と現実に救いを齎された心地がした。
「そうですか」
万感の思いを込めて、そう返す。
今のカカシには、それ以上のこと考える事など、とてもできらしなかった。
それを察してくれたらしい三代目が、深い、深い溜め息を吐いた。
そうして、ゆっくりと切り出してきた。
「はたけカカシ。任務から帰って来たばかりのお主には悪いが、今は里の危急の時。通例通り、休暇を挟ませる訳には行かん。明日より、暗部の一員として、次代人柱力の監視と護衛の任に付いてもらう」
「わかりました」
否を許さぬ三代
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