押し寄せしモノ
ダークグラスパー
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う薄い頬笑みを絶えず向けていた。
当然、テイルレッドこと総二には彼女に覚えなど、それこそ微塵もない。
「おっと、そう言えば自己紹介がまだであったな……妾はダークグラスパー、アルティメギル首領直属の執行官じゃ」
「「「「!?」」」」
「……アルティメギル……か」
『みてぇダナ』
明らかに何の幻獣も混ざっていない純粋な “人間” である筈の少女が、有ろう事かアルティメギルに所属している事を告げたのだから、テイルレッド達の中に生まれた驚愕の度合いは決して小さくはなかろう。
そして恐らく姿が似ても似つかないテイルレッドをトゥアールを勘違いしているのも、コアとなっている属性力がトゥアールの物だからに違いない。
その判断基準から……ますます、ペテンにかけていると判断しづらくなっている。
まだ単純感情種のエレメリアンだと言われた方が、テイルレッド等も納得が出来ていたというのに。
「一体……一体君は、何者なんだ?」
狼狽を必死に隠しながらテイルレッドは聞き、対するダークグラスパーは笑みながらも瞳を伏せた。
「……やはり妾が余りに美しく成長し過ぎ、嘗ての姿と記憶が重ならぬか……喜ぶべきか悲しむべきか、しかし寂しいものよ」
「そんな事誰も言ってない」
『テメェは頭蓋骨ん中グミ詰めのアホんだラカ。自画自賛すンナ、気持ち悪ィ』
「な、何じゃとこの無礼者共めっ!」
「『知るか』」
辛辣なグラトニーとラースの突っ込みにより、ダークグラスパーが纏っていた威厳と数秒前までの深刻な空気が、物の見事に霧散してしまった。
あんまりな物言いに対し続けて追求しようとするのだが、場の空気が乱された事に気が付いたか、ダークグラスパーは一度大きく咳払いをする。
「ん゛んっ! ……トゥアールよ、ソナタとの思い出を語れば、妾が誰なのか思い出してくれるかのぅ?」
「いや……」
思い出すも出さないも端から面識などない。
誤解だと如何伝えるべきか、それとも隠し通すために行動を起こすべきか。
悩むテイルレッド……その彼女の耳に、通信が届く。
『総二さま、総二さま……此処は私に任せてください。まずは後ろにお手を』
「……」
言われるがままに気づかれぬよう後ろに手を回せば、音もなく置かれたのはトゥアルフォンと呼ばれる携帯型通信機器。
これを介して、ダークグラスパーにどのような策を講じるのだろうか。
「イースナ、なぜあなたがこの世界に?」
「……!?」
「おぉ……おぉ! 思い出してくれたのか! そうじゃ、そなた一番の信奉者であったイースナじゃ!」
瞬間、テイルレッドの身体は驚愕で跳
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