1部分:第一章
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入った。
境内に入ると仏像だけが放っておかれている。行間はそれを見て成程とおもうのであった。
「ふむ、やはり」
顎に右手を当てて述べる。境内も奇麗に掃除されているが普賢菩薩の仏像だけが掃除されていない。埃と蜘蛛の巣で汚いものであった。
とりあえずその仏像だけ掃除して後は自分に部屋に相応しい一室に入った。そこで持って来た乾米による簡素な夕食を採り部屋の中にあった奇麗な布団を敷いて寝た。その日はそれで終わりかと思われた。
ところがだ。真夜中になって急に障子の向こうが眩しくなった。ふとその光で目が起こされると自然に身体も起こされた。起き上がって外を見るとそこには何もない。ところが部屋に戻るとまた眩しくなるのだった。実に奇怪なことであったが彼はここで合点がいったのであった。
「ふむ。これだな」
化け物だと思った。すると外からこんな声がした。
「椿木を切るな」
こう言っている。やけに奇麗な声であった。女の声に近い。
「誰であろうか」
「東野の野干だ」
行間の問いにこう答える。だが彼はその声の主が誰なのかわかったのだった。
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