その21
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見せ、初めて近しくもない他者に人らしい姿を見せた少女に、安堵を覚えた。
その時の少女から漏れ聞いた九尾の言葉に、微かに違和感も大きくした。
それが縁だったのか、彼女はうちは一族との誼を結び、親しんでいった。
それからは目覚ましい程、少女は爆発的に成長していった。
人として。
何かあれば素直に笑い、面白くなければ素直に拗ねて、優しく目を細め、愛しむ。
仮面ではない少女の感情が、少女自身に素直に溢れ出した時、カカシは悟った。
少女は、人と共に居らねばならないのだ、と。
そうでなければ、少女は孤立する。
孤立して、師とは似ても似つかぬモノに変わり果てると漸く気付いた。
少女を独りにしてはならないのだ、と、自分の過ちにその時気付いた。
そうして、未だ手遅れでは無いのだと、三代目にそう聞いた。
少女は、アカデミーを卒業し、無事下忍となる事が出来れば、暗部に所属させ、里の兵器とする事が決定しているらしい。
それを聞いた時、カカシの胸に湧いてきたのは憤りだった。
今の少女は、人形ではない。
人形では無いのなら、きっと、耐えきれる物では無いだろう。
少女には、もっと絆となる物を作らせてやらなければ、忍びとして生き抜く力すら、碌に身には付かないだろうと予測が付く。
だからこそ、その時間を稼ぐためにも火影に交渉して自分の部下とした。
元よりうちはの生き残りと連んでいるのは知っていたが、その仲は非常に曖昧で薄く、いつ壊れても仕方無い程細い仲だと感じていた。
感じていたのだが……。
「何怒ってるの?サスケ」
「煩い!黙れ!何も言うな!」
真っ赤な顔で怒鳴りつけて噛み付く少年に、困惑の色も濃く少女は無邪気に近付いていく。
「もしかして怪我しちゃったとか?ありがとね、助けてくれて」
嬉々として、果物の収穫任務を遂行していた少女が足を滑らせ、少年が少女を助けた所まではとても良かった。
流石はうちはの末裔。
共にいる時間が長かったのも有るだろう。
間一髪というところで少女を助け出したのだが、その後が問題だった。
助けられた衝撃のまま、少女は惰性で少年に頭突きし、見間違いでなければきっちり唇が触れあっていた。
それは、口元を押さえて、真っ赤な顔で必死に顔を少女から逸らそうとする少年からも、間違いなく読み取れる。
そうして、少年が少女を少女として認識している事も、まんざらでもなく思っているだろう事もすっかり丸分かりだ。
だがしかし。
「サスケ、怒んないでよぅ。僕、わざとじゃなかったんだってば。勢い尽きすぎて止まんなかったんだよぅ」
視線を逸らす少年に、べそをかき始めた男装した少女が、必死な表情で許しを得ようと、顔を自分から逸らす少年の顔を覗き込もうと纏わりつく。
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