その21
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しかし、自分には少女を導き、癒すような事は出来ない。
だが、状況は少女にとってはかばかしくなく。
遂には、里の外れの山に監禁される事になってしまっていた。
少女は、自らの存在と里人の悪意を正確に理解しており、それが原因で九尾との同化が進んでいると判断された為だった。
暗部と言えど、忍びで一人の人間だ。
故に、感情を表に出す人間は彼女の監視の任から外された。
与えられた任務を忠実にこなす、里に従順な者や、薄々彼女の素性に気付いており、密かに好感を持つ自分のような者が彼女の周りに配された。
それは恐らく、彼女にとっては良かった事なのだろう。
時折、日が沈んだ暗闇の中、独りすすり泣く声が聞こえてきていたが、住まいとして与えられた山小屋に隔離され、日中、自分に不の感情をぶつける里の人間との接触が減った分、少女の表情には、明らかに幼い子供らしいあどけなさが浮かぶようになっていた。
初めこそ、与えられた新しい環境に酷く警戒していたが、小首を傾げながら取り揃えられた辞書や図鑑を前に四苦八苦する姿に、テンゾウが見るに見かねて声をかけて図鑑の見方を教えてやったりすると、はにかみながらも微かに笑みを浮かべ、礼を口にするようにもなってきた。
自分に酷い悪意をぶつける者は近くに寄らないと理解した少女は、おてんばな一面を遺憾なく発揮してくれて、人知れず危険な場所に入り込み、肝を潰す事も両手の数では足りなくなった。
九尾との同化の影響か、少女はチャクラを練り、コントロールする事を自然にこなし、彼女の遊びはほぼ忍術の修行に近いものになってしまっていたのだ。
周りに少女を人として導く大人が居なかったのも一因だったのかもしれない。
木を駆け上り、水の上を走り、滝を駆け上がる。
九尾との同化の影響の末とも言える、上忍でも舌を巻く荒行の如き所行は、それでも彼女にとっては、ただの遊びであるようだった。
走るのが楽しいとばかりに、子供らしく笑い転げながら、チャクラを駆使して縦横無尽に駆け回る。
一人でしか居られない分、彼女の中には人間として比較となるものが有らず、時折、少女の幼さを見かねた暗部の護衛達の助言や手助けはあれど、九尾との同化も進む一方のように見受けられた。
その影響は顕著だった。
齢5を数える頃には、遠見の巫女と呼ばれた初代人柱力と比較にならぬ程の勘の冴えを見せ始め、その身に常に九尾のチャクラを纏わせるようになっていた。
それに変化が現れたのは、何を思ったか、めったに住処とされた庵を離れない彼女が、突然何の前触れも無く里に下り、真っ直ぐにうちは一族の居住区に入り込んでからだ。
少女の異様な気配に警戒して出てきたらしいうちはイタチと会合し、強がり、目まぐるしく表情を変え、不器用ながらも母を慕う幼さを
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