第十四話:事件勃発
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み、床に叩きつけて強制的に中断させた。
「自分に酔うな」
あと、俺に嘘泣きが効かないといい加減理解してほしい。
妹やらの嘘泣きに逆らえず、ついついワガママを聞いてしまう奴っているだろ?
だがウチの兄弟間では違う……だってこいつの場合、ウザッたいだけだからな。
オマケに半分以上の確率で、こいつの言う事は道理が通らない。
聞く理由など存在せず、聞く気も端からねえ。
「わかった! じゃあわかった! 妥協案で良いから!」
「で?」
「兄ちゃんのファーストキスはあたしが貰う! マリスたんはその次って事で!」
もう呆れて声が出ない、腕も動かない。
何が悲しくて妹にファーストキスを捧げなければならない? ならマリスとキスした方がマシだ。
勿論、これは例え話。故にどちらともしたくない。
だが……爆発かぁ……。
「……楓子」
と、今の今まで寝転がっていたマリスが、少しばかり重い空気を発してユラリと立ち上がり、俺と楓子の方へと近付いてきた。
「……私と麟斗は真剣な話の最中。だから遊びで邪魔しないで」
「私だって真剣だよ、真剣に恋してるんだもん。譲れないね此処だけは」
実の兄に真剣に恋してどうするんだ……。
「……ならば仕方が無い」
「ん! 早い者勝ちだね!」
「……正々堂々、勝負」
「恨みっこ無し! だよ」
言うが早いかマリスは某野菜人の如きスピードと動きで回り込み、楓子も何時もの挙動からは考えられない速さで詰め寄ってきた。
「……さあ、さあ麟斗」
「兄ちゃ〜ん。こっちのキスは甘いぞ〜っ」
懸命にキスを迫る二人だが、何分二人と比べて頭一つ分以上高い俺は、ちょっと顔を上に傾ければ背伸びする二人の唇から逃れる事が出来る。
だからこそそう簡単に奪われずには済んでいるのだが、懸命に唇を突き出してキスを覚める様は、正しく鬼と同義の形相であり、間違ってもこんな奴等にキスしたいとは到底思えない。
……今だから思うがなマリス、無表情キャラじゃなかったのか? お前。
これが単なる二人のおフザケならば、そしてマリスの羽交い締めで動きを止められていなければ、脚で突き飛ばすなり叩くなりしてやり過ごせたものを、状況に至った経緯が経緯だけに、暴力で解決できなくなっている。
それがクソったれなぐらいもどかしい、もどかしくてたまらねえ。
……だからそもそもキスなんて方法を取り入れるのが―――いや、待てよ?
「チ……仕方ねえ」
「……! 麟斗、こっちこっち」
「こっちに来て! とってもプルプルだよぉ」
俺の言葉に反応し、二人がより興奮した様子で詰め寄ってくる。そんな二人に手を伸ば
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