暁 〜小説投稿サイト〜
少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十四話:事件勃発
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に乗り、家でもお袋という味方が居る……そうやって恵まれ、反省などしなくともいいとコイツは思いこんでいる。

 だからとても残念だ――――そんなコイツが大きく項垂れ、煩く無くなるのを見れないのが。

 まあ背に腹は代えられない。
 ()()()()()()()、本心を隠して協力するとしますか。


「……思い出した事がある」
「何だ?」


 だからマリスの言いだした事にも、ちゃんと耳を傾けた。


「……《婚約(エンゲージ)》には段階があった。まずは仮《婚約》、次に麟斗が望む事で広がった正《婚約》―――そして最後に完全《婚約》がある」
「面倒臭い設定だな……それで?」
「……完全《婚約》が成立する条件……それはキス」
「ほう………………は?」


 傾けてはいたが、溜めも無くサラリと言われた単語に、俺は聞き逃しかけ、それでもどうにか反応した。
 ……聞き間違いじゃあ無いな、うん。
 今絶対に…… “キス” って言ったぞ、コイツ。


「……だから麟斗、キスをしよう」
「断る」
「……何故?」
「そもそもの《婚約》事態が不明瞭だろうが。する理由が無い」
「……でも…………」


 やっぱり受けるんじゃなかった、そして真面目に聞こうとするんじゃあ無かった。
 そう思った俺は、無理矢理耳からマリスの言葉を追い出―――


「……正《婚約》後、二十四時間以内にキスしないと……麟斗は爆発して死ぬ」
「はぁ!?」


 ―――そうとして、何時もは出さない音量の声と共に、勢いよく体ごと振り返る。

 ……ああ、これも聞き間違いじゃねえな。
 今確かに 『爆発して死ぬ』 って言ったぞ、コイツ。

 今までの話を総合すれば、確かに正《婚約》の証自体は俺の腕に現れていないものの、しかし受け入れたという感触はあり、どっちに傾いているのかも分からない状態だ。
 つまり今の俺は、爆発もせず死なない可能性も勿論あるが、爆発して死ぬ可能性も大いにあるという、極めて厄介な状況に陥ってしまっている。
 そして起きる起きないの二択を迫られた際、どちらかが最悪である場合は、そちらを想定して行動せねばならない。

 つまりこれから俺がすべき事は、考えるまでも無く言わずもがなのだが……。


「楓子、コレは脅しだろう?」
「………………」


 無言で目を逸らし続ける。
 つまりは真実か。


「何故こんな設定にした? 説明しなけりゃ“フルコース”だ」
「だ、だってさぁ……美少女にキスを迫られて、それで嬉し恥ずかしで男の子が駄目だって抵抗するけど、でも爆発するからどうしようって葛藤するのお約束でグボェッ!?」


 真面目に聞
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ