第十四話:事件勃発
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に乗り、家でもお袋という味方が居る……そうやって恵まれ、反省などしなくともいいとコイツは思いこんでいる。
だからとても残念だ――――そんなコイツが大きく項垂れ、煩く無くなるのを見れないのが。
まあ背に腹は代えられない。
俺の為、他者の為、本心を隠して協力するとしますか。
「……思い出した事がある」
「何だ?」
だからマリスの言いだした事にも、ちゃんと耳を傾けた。
「……《婚約》には段階があった。まずは仮《婚約》、次に麟斗が望む事で広がった正《婚約》―――そして最後に完全《婚約》がある」
「面倒臭い設定だな……それで?」
「……完全《婚約》が成立する条件……それはキス」
「ほう………………は?」
傾けてはいたが、溜めも無くサラリと言われた単語に、俺は聞き逃しかけ、それでもどうにか反応した。
……聞き間違いじゃあ無いな、うん。
今絶対に…… “キス” って言ったぞ、コイツ。
「……だから麟斗、キスをしよう」
「断る」
「……何故?」
「そもそもの《婚約》事態が不明瞭だろうが。する理由が無い」
「……でも…………」
やっぱり受けるんじゃなかった、そして真面目に聞こうとするんじゃあ無かった。
そう思った俺は、無理矢理耳からマリスの言葉を追い出―――
「……正《婚約》後、二十四時間以内にキスしないと……麟斗は爆発して死ぬ」
「はぁ!?」
―――そうとして、何時もは出さない音量の声と共に、勢いよく体ごと振り返る。
……ああ、これも聞き間違いじゃねえな。
今確かに 『爆発して死ぬ』 って言ったぞ、コイツ。
今までの話を総合すれば、確かに正《婚約》の証自体は俺の腕に現れていないものの、しかし受け入れたという感触はあり、どっちに傾いているのかも分からない状態だ。
つまり今の俺は、爆発もせず死なない可能性も勿論あるが、爆発して死ぬ可能性も大いにあるという、極めて厄介な状況に陥ってしまっている。
そして起きる起きないの二択を迫られた際、どちらかが最悪である場合は、そちらを想定して行動せねばならない。
つまりこれから俺がすべき事は、考えるまでも無く言わずもがなのだが……。
「楓子、コレは脅しだろう?」
「………………」
無言で目を逸らし続ける。
つまりは真実か。
「何故こんな設定にした? 説明しなけりゃ“フルコース”だ」
「だ、だってさぁ……美少女にキスを迫られて、それで嬉し恥ずかしで男の子が駄目だって抵抗するけど、でも爆発するからどうしようって葛藤するのお約束でグボェッ!?」
真面目に聞
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