第十四話:事件勃発
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拍子抜けする誘拐の真相でちょいと吹き飛んでいたが、マリスでは他の【A.N.G】には勝てないので、鎌を携え突貫するのは無謀にも程がある。
場所も分からず、目的も分からず、さりとてこれ以上騒ぎを大きくせぬよう、大胆にも飛び回る訳にはいかない。
なら此処でジッとしてテレビを見るしか、他に出来ることが無いに等しい。
まあ俺としてはこのままのバカなままで終わってほしい。戦いに出る羽目になるのはまっぴら御免だから。
しかし、これで終わってくれればまだ良かったものの、不安を呷るニュースは続いて行く。
『続いてのニュースです。本日正午、秋葉原〔ゲマーゾ〕本店が何者かの手によって襲撃され、店内にて飾られていたサイン色紙が全て強奪されるという、大胆な犯行による事件が発生しました』
「流石に洒落にならないか……唯一の救いは金目の物じゃあ無いって事だが……」
「ちょっと! 何言ってるのよ兄ちゃん!!」
俺がぼやくと、顔で子がまたもうるさい声で俺の言葉に異を唱えた。
……お前は一々声を張り上げないと、自分の意見一つ説明できねえのか。
「〔ゲマーゾ〕本店にはラノベ作家様のサイン色紙が一杯飾られているの! こう言ったサイン色紙は同じ重さの金より価値がある! 寝言を言えるほど緩い事態じゃないのよ!?」
「……その例えが真実だとしたら、何枚集めようが千円に届きゃしねえな」
サイン色紙の重さなぞ高が知れている。
それに実際に売った際の値段は、金の方が確実に上だろう……言わずもがなだ。
というか、あんな紙板を集めた所で一体何の役に立つ?
一戦の価値もないとは流石に俺も言わないが……しかしどれだけ大事だろうとも役に立たず、ただ文字が書かれているだけで思い出も無いのだから、最低一年もせずに見飽きてどっかの隅に放置されるのが “オチ” だ。
だが楓子は聞いちゃいない。「テラウラヤマシス」と訳のわからない言葉を、呪詛にも似た響きで繰り返し吐き続けている。
オマケに横から離れない。位置をズラすと付いてくる。
―――だからウザイとばかりに、俺は肘鉄で弾き飛ばした。
『目撃者によりますと犯人は十代の少女であり、白い水着の様な鎧にも似た服を着用し、逃走時には白く光る謎の棒状の物を出して壁を破ったとの事で、警察当局はその目立つ風貌から、付近の住民にも目撃者を募り―――』
「……目撃者だと……!?」
一瞬、メープルの犯行だと分かった俺は呆れた。
聖天使が泥棒の真似事どころか、強盗そのものを引き起こして……よくもまあ、その名前を名乗れたものだなと。
しかし彼女の名前から否応にも脳裏に姿が浮かび、この一件が改めて、冗談ではすまされないものだと気がついた。
「
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