Fate/stay night
1108話
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先程と同様の咆吼。……ただし、それは明らかに弱くなっており、心臓を抉りとられたまま地面に膝を突き、そのまま倒れ込む。
「アークエネミー!?」
「一旦下がれ!」
驚愕に驚くセイバーにそう告げ、俺もまた一旦後方へと下がる。
何故か、今の一撃でバーサーカーを殺せたような気がしなかった為だ。
掌に握っていたバーサーカーの心臓の肉片を地面に投げ捨て、驚愕で目を開いているイリヤの方へと視線を向ける。
……そう、俺が後方へと一旦退いたのは、バーサーカーが死んだにも関わらず、そのマスターであるイリヤが驚き以外の表情を浮かべていなかったからだ。
本来であれば、間違いなく恐怖やその類の表情を浮かべている筈が、浮かんでいるのは驚愕のみ。
それも、驚きは驚きでも予想外の驚きではない。予想の範囲内とでも言いたげな驚き。
……何だ? サーヴァントが死んだ以上、イリヤの聖杯戦争はこれで終わった筈だ。
だというのに、全く残念そうな様子も、怯えた様子も見せない。
「どうしたんだ? お前の戦いはこれで終わったというのに、全く堪えた様子が見えないが」
いつでもお前を殺せる。そんな意味を込めて、つい先程バーサーカーの心臓を貫いた右手を前に出す。
「おい、ちょっと待て! アークエネミー、お前あんな子供をどうにかするつもりなのか!」
「ちょっと衛宮君、危険だから前に出ないで!」
衛宮が俺とイリヤの間に立ち塞がり、大きく手を左右に広げる。
「……何のつもりだ? これは聖杯戦争。つまり、殺し合いの戦争だが?」
「それでも、俺はこの子を殺す事を許す訳にはいかない!」
「どうする、凛? いっそ衛宮もこの場で始末してしまうか?」
衛宮の様子を見ながら凛に念話で尋ねるが、凛がそれに答える前に事態は動く。
「ふふふ。私のバーサーカーがこの程度でやられる筈がないじゃない。何てったって、私のバーサーカーはヘラクレスなんだから!」
「何ですって!?」
驚愕の声は凛から。
ただし、セイバーもまた唖然とした表情を浮かべてバーサーカー……ヘラクレスの死体へと視線を向け、衛宮も驚愕の表情を浮かべていた。
「けど、驚いちゃった。そっちのサーヴァントのお兄ちゃん、まさか一撃でヘラクレスを3回も殺すなんて思っていなかったわ。ちょっと油断したようね」
「……3回殺す?」
何を言っている? そんな俺の思いは、次の瞬間にはっきりとする。
まるでビデオの映像を逆回しにしているかのように、ヘラクレスの傷が消えていったのだ。
「蘇生魔術の重ね掛け!?」
「あははは。正解よ、凛。凄いでしょ、私のヘラクレス。……けど、今日のところはお兄ちゃんの顔も見られたし、凛とも顔を合わせた。バーサーカーを一回で何度も殺す
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