5部分:第五章
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けぞらせた身体を元に戻しつつ述べる。
「何があろうとも」
「わらわは諦めぬ」
目に込められている怒りがさらに強められる。
「決してな。何があろうとも」
「どのとうにしてもブルボン家を害されるというのですか」
「それ以外に何があるか」
牙の様になった歯を幾多も見せての言葉だった。
「今のわらわには。それ以外の何が」
「貴女様のことは確かにわかりました」
それがわからないダルタニャンではなかった。
「その悲しみもお怒りも」
「ならば大人しくわらわの糧となれ」
「いえ、そういうわけにはいきません」
しかしそれでも彼は言うのだった。
「例え何があろうとも」
「何故だ、忠誠か」
「無論それもあります」
まずはそれを認めて答えた。
「ですがそれだけではありません」
「それだけではないと」
「そうです」
ここでも毅然とした返答であった。ディアナの爪をかわし剣を出しつつ応える。
「貴女様は既に多くの者を殺めていますね」
「それがどうかしたか」
「尚且つさらに多くの者を殺めようという」
「ブルボンに復讐を果たすのならば当然のことじゃ」
ここでも憎悪に満ちたどす黒い言葉を吐き出した。
「それならばな」
「だからこそです」
ここでもディアナの爪をかわす。頭を狙って横薙ぎに来たものを屈んで。
「私は貴女様を倒さなくてはならないのです」
「わらわをというのじゃな」
「そう、どうしても」
ディアナは今度は爪を突き出したがそれは左に跳んでかわした。それと共に剣を一閃させたがその一撃が彼女の突き出した腕を斬り落とした。
「ぬうっ」
「今のは効いた筈です」
冷静に彼女の憤怒で歪んだ顔を見つつ述べる。
「腕を斬られのなら」
「まだじゃ」
斬られた右腕は完全に消えた。しかしそれでもディアナは憎悪の炎を弱めてはいなかった。それどころかその炎をさらに燃え上がらせてさえいた。
「この程度でわらわを倒せると思うてか」
「くっ、まだだというのですか」
「その通りじゃ」
憎悪は最早頂点に達していた。
「何としても。ブルボンの者達を」
「それはなりません」
ダルタニャンはそれは何としても許そうとはしなかった。
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