3話 余興
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ます」
強行軍で辿り着いた訓練予定地に、簡素な野営地を作り、調練の準備をしていた。まだ合同訓練には一日の猶予があったため、山岳地帯を駆ける調練と同時に訓練地帯の地形に兵たちを慣らしておこうと思ったのだ。 そんな時に、王が現れた。傍らに小柄な少女を侍らしている。赤を基調とした軍服を身に纏い、腰に特徴的な武器を駆ける、溌剌とした少女である。王の傍で腕を組む少女は、どこか此方を値踏みするように見つめており、俺に興味津々と言った感じである。
王が他の護衛も傍に付けずに少女と二人でいると言う時点で、並の人物では無いのだろうと予想はできているのだが、この視線はイマイチ良く解らない。
「はっは。いいねぇ、お前のそう言うところ。俺の好きそうな事を心得ていて、気分が良いぜ」
「それは何より」
くくく、と喉を鳴らし笑う主に、相槌を打つ。どうにも、傍らに立つ少女が気になるのだ。主であるギュランドロス様とは違った意味で、どこか非凡な少女だと感じた。
「へぇ、あんたが噂のユイン・シルヴェストか。ほむほむ。ギュランドロス様の前って事もあるけど、全然隙が無いや。相当な使い手と見た!」
「だっはっは。そりゃそうだろ、パティ。此奴は俺様自慢のユン・ガソル軍の精鋭を、あろう事か奇襲して横っ腹をぶち抜いた男だぞ。それも、寡兵であるにも関わらず、だ。もし指揮していたのが俺以外の並の将なら、きっと討たれ全軍潰走していた。それ程の男だぞ。弱い訳がないだろう」
「うーん。そう聞くと確かに物凄いかも。けど、そんなに凄いなら、なんでこれまで名前が知れ渡ってなかったんだろう」
「そりゃ、お前、あれだ。俺が知るわけないだろう」
「うう、ギュランドロス様に聞いたあたしが馬鹿だった」
「何だとこの野郎っ」
口を開くと、見た目通り溌剌な少女であった。何と答えようかと一瞬考え込んだところで、王が会話に加わり、二人で話し出す。何というか、会話に入る余地が無かった。仕方がないので、その会話に耳を傾ける。少女は王とかなり親しいようで、ただの主従とは思えないほど、ギュランドロス様に信頼されているのが理解できた。
「ふむ、三銃士の一角か。成程、たしかに普通とは違う」
呟いた。王が少女をパティと愛称で呼んだ。彼女をたった一人付けた状態でここまで来たと言う事から、かなりの人物と想像できたし、そういう条件でパティと呼ばれそうな人物は一人しか思い浮かばなかった。ユン・ガソルの三銃士、パティルナ・シンクである。恐らくそうではないかと、見当をつける。
尤もそれが解ったところで、やる事もないので、少女の様子を観察していた。王と談笑する姿に隙はそれなりにある。ありはするのだが、仕掛ければ痛い目に合う。そう言う類のものである。
要するに自然体に構えているのであった。だからこ
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