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塔の美女
2部分:第二章
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った。
「これはね。心配無用だよ」
「またそんな無鉄砲な」
「無鉄砲かな」
「無鉄砲です」
 少しきつい言葉と顔で主に告げるのだった。
「もっともそれはいつものことですけれど」
「そんなに多いかな、こうした行動は」
「だから。いつもですよ」
 言葉のきつさがさらに強くなっていた。
「全く。自覚してくれないと困るんですけれど」
「やれやれ、ジャンは相変わらず厳しいな」
「何かあってからじゃ遅いんです」
 ジャンの言葉はここで厳しい。
「わかって下さい、いい加減に」
「ううん、まあそのうちね」
「全く。けれど何はともあれ」
「今度は何だい?」
「もうすぐですよ」
 こうダルタニャンに告げた。
「もうすぐですよ。塔まで」
「そうか。案外早かったね」
「そうですね。もっと時間がかかるかと思ったんですけれど」
 これに関してはジャンも同意だった。
「実際はそうでもなかったですね」
「うん。さて、と」
 ダルタニャンの言葉の調子があがった。
「じゃあ。やるか」
「塔まで上がるんですか?」
「ああ、それは駄目だよ」
 それについてはすぐに右手を横に振ってしないと言い切ってきた。
「どうせ扉には鍵が閉められているよ。無理だよ」
「無理矢理扉を壊すなり鍵をこじ開けるとかは?」
「それだと相手にわかるよ」
 ジャンの今の提案には全く乗り気でないのがわかる言葉であった。実際に月明かりに見えるその顔はあまりいい表情には見えなかった。
「相手が誰かもわからないし。わかったら」
「それこそ何にもなりませんか」
「相手が危険な奴だったらそれで終わりだよ」
「剣を持っていてもですか」
「そうだよ。何かさ」
 ここでジャンに対して言うのだった。

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