『キマグレ』
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産まれて初めて覚えた花の名はハイビスカス。
気まぐれな貴女が教えてくれた。
ハイビスカスの次はツバキ。
ツバキの次はバラ。
良く覚えてる。
貴女は花が好き。
赤い花が好き。
其れだけは解った。
貴女は花を愛でるくせに我が子は愛さない。
其れは何故?
そんな問い掛けは虚しく散ってく。
気まぐれな貴女は、花以外、ごく稀に字や数字を教えてくれた。
其れを必死で吸収する。
けれど、気まぐれな貴女でも、抱き締めてくれたことは一度たりとも無かった。
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