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《sword art online》 ~クリスタルソウル~
暗雲
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を頼まれちゃった」
イヴは浮かない顔で皿を見つめている。そういえば僕がポテトを潰す作業をしている時、彼女は誰かと会話していたっけ。なんの連絡だろうか。確かに、そろそろ重要なクエストが発見されてもおかしくない時期ではある。当然僕たちにも召集がかかるだろう。しかし、それでは彼女がこんな深刻な顔をしている説明がつかない。危険なクエストの依頼など、攻略組にとってそれほど珍しい話ではないのだ。これは余程の大事か、あるいは・・・・・・
「ふーん。誰からの依頼?」
僕はスプーンを動かしながら聞いた。冷静な風を装ったが、内心では非常に狼狽えていた。そして案の定、彼女は僕の期待を裏切らなかった。
「ヒースクリフ」
危うく、口に含んだスープを全部吹き出しそうになる。
その名前には大いに聞き覚えがあった。
「ヒースクリフって、まさかっ」
「そう、あのヒースクリフ」
「有名人じゃない! だってあの人は・・・・・・」
「『血盟騎士団』のギルドマスターで、SAO最強のプレイヤー、でしょ? まったく、ずいぶんと大それた肩書・・・・・・」
珍しく皮肉めいた事を言う彼女に気づかないほど、僕は驚いていた。
ゲーム内に数多く存在するプレイヤー集団、ギルド。中でも血盟騎士団は最強戦力との呼び声高い。デスゲームからの脱出が最優先とされる今、ゲーム攻略に貢献できるギルドは、それだけ大きな権限と影響力を持つ。トップギルドのボスともなれば、僕たちよりもヒエラルキーは上なわけだ。しかし、そんな肩書とは関係なしに、実力とカリスマ性において他の追従を許さないのがこのヒースクリフという男だった。
ユニークスキル『神聖剣』の使い手。ボスの攻撃をたった一人で防ぎきった伝説。我の強い高レベルプレイヤーをまとめ上げ、血盟騎士団を結成させた手腕。
数々の功績を持つ彼を、英雄と呼ぶプレイヤーも少なくない。ヒースクリフは、ゲーム内の最重要人物と言っても過言ではないのだ。
「・・・・・・どんな話をしたの?」
恐る恐る尋ねながらも、僕は粗方覚悟を決めていた。そんな人物からのコールが、ただの世間話で終わるはずがない。
「『ラフィンコフィン』。知ってる?」
「いきなりなにさ・・・・・・そりゃ、知ってるけど」
彼女が口にした名前。それは血盟騎士団とは別の意味で有名だった。
プレイヤーを攻撃する、いわゆるプレイヤーキルを生業としたギルド。それがラフィンコフィンだ。従来のオンラインゲームではこの手の行為をPKと称し、遊戯として当たり前のように容認されてきたが、SAOにおいては全く違う意味を帯びる。HPがゼロになれば実際に人が死ぬ。つまりプレイヤーを攻撃するという事は、人殺しを行うのと同義なのである。しかも奴ら
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