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《sword art online》 ~クリスタルソウル~
暗雲
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僕は冗談めかして言ったが、半分は本気だった。油断でも過信でもなく、客観的に見てそれを可能にするだけの実力が僕にはある。ここにいるのは初心者プレイヤーなどではなく、経験を積んだ熟練プレイヤーなのだ。
が、次の瞬間。僕の反応速度を上回る空手チョップが脳天に直撃した。HPが減らないギリギリの力加減だ。目の前を星が散り、怒ったイヴの顔を見え辛くする。
「調子に乗らない!」
「・・・・・・はい」
でもやっぱり、彼女には適わないのだった。
結論から言って、夕飯はいつものと同じように美味しかった。
日がとっぷりと暮れ、鈴虫が鳴き始めた頃、僕たちは家に帰ってきた。すぐにベッドに入り込みたい衝動を抑え、イヴの指揮のもと、食事の準備に取り掛る。その甲斐あって、今では温かい料理がテーブルに並んでいた。
自家製のライ麦パンに、丹念に煮こんだキャベツとベーコンのスープ。テーブルの中央に山を作っているポテトサラダはイヴの得意料理だ。若干ポテトが多すぎる気がしなくもないが、どれも文句なしに美味しい。
ゲーム的に考えてしまえば、調理という行為は非効率的だ。現実より手間は簡略化されているとはいえ、アイテムをそのまま食べてしまった方が楽なことに変わりはない。だが、例え無駄に思えても、過程こそに意味のあるものだってある。それはイヴも僕も感じていることだった。
彼女と暮らし始めてから、なんとなく考えが似てきたと思うことがある。イヴとの同居生活が当たり前になって久しい。二人は結婚しているのか? と偶に聞かれることもあるが、あくまで僕は居候させてもらっている立場に過ぎない。始まりは、朝がきついと文句を言う僕に「起こしてあげるから、一緒に住んだら?」と返したイヴの冗談みたいに軽い一言だった。それがまさかここまで長居してしまうことになろうとは、あの時は思ってもみなかった。
だが、何時かは出ていかねばなるまい。ペアを組んでいるからこそ、彼女だけに負担を強いるのはよくないのだ。
そんな事を考えながら、何気なくイヴの方を見ると、彼女はカリカリのパンをちぎってスープに浸している最中だった。
ぱくっ。小さな口で食べる。
もぐもぐ。咀嚼する。
こくり。白い喉が動く。
目があった。
「なに?」
「いや、なんでも」
「へんなの」
それだけ言って、彼女はまたパンをちぎる作業に戻る。妙に口数が少ない彼女に、僕はちょっと首を傾げた。いつもなら無駄に絡んでくるのに。
「ねぇ、何かあった?」
さっきから薄々感じていた疑問をぶつけると、ぴたりと彼女の手が止まった。一口大にちぎられたパンが、ゆっくりと戻される。
「・・・・・・さっきコールがあったの。厄介事
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