3部分:第三章
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る。
「それで夜な夜な街を彷徨い歩いているって話もあるけれど」
「本当はどうかわからないのね」
「うん、けれど死んだって話があるのは本当だよ」
そこは強調する雄吾であった。無意識のうちに。
「北朝鮮に連れて行かれて将軍様に縛り首にされたんだって」
「本当だったらいいけれど」
「そうだよね。そんなのがいたら何時までも夕方に遊べないから」
「塾に行くのだって怖いし」
子供達にとってはそうした意味で実に切実な話だったのだ。少なくとも現実に非常に影響している話ではあった。
「いなくなっていて欲しいね」
「そうよね」
雄吾の言葉に頷く。
「もう夕方外に出るのが怖くて仕方ないのよ」
「そんなに怖いの?」
「だって。何時物陰から」
怯える目で辺りを見回して述べる。
「異人が出て来るんじゃないかって不安で仕方ないから」
「皆そう言うよね、それは」
「雄吾君もそうでしょ」
「まあね。やっぱり僕もね」
美香の言葉に応えて頷いてみせた。
「怖いんだよね。だからムースだって持ってるし」
「本当にもう出ないのかしら」
美香はそのことを必死に考えていた。考えていることは何があっても出て来て欲しくないということだけであった。他のことは考えてはいない。
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