第十三話:休息の一時
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眩暈を覚えながら何とか読み進めて行く。
「チッ」
…………駄目だ、やっぱり頭に入って行かん。
焦げていて読めない部分が多い上に、読める部分もラブロマンスとか本人の身の上話とか、これっぽっちも役に立たん情報ばっかりだし。
中身がマジモノのキャラクターそのもので有ればそれも活かせただろうが、今あの【A.N.G】の中に入っているのは俺達と同じ人間。つまり過去の情報やキャラクターの世界観など役に立ちゃしねえ。
「……意味分からねえ……」
なんだよこのキケロクロットの項の『ロリーーーーーーーーーーーーーーー!』って。(原文ママ)
こんなもんに一々行を使うな。しかもここだけ焦げ目が全くない、極端に真っ白。
しかも、黒い部分を大分飛ばしてココもまたハッキリ読める、『ようぢぉ』ってなんだ。
何故 “ち” に濁点をつけてんだ。“し” じゃ何が駄目なのか。
そして、これもまたおかしいな?
このメープルの項の『顔良し性格良しスタイル良しの、三拍子そろったぶっちゃけアタシそっくりの美少女聖天使』って。
お前そっくりなら『顔よし、脚のスタイルはよし、しかしそのほか全く駄目』と書くべきだろうが。
オマケに、様々な能力をぶち込んだ挙句、書かれているのは『ぶっちゃけ最強』。
「本当、 “三流” にも届かない物語を書く事だけは “一流” だなコイツ……」
思わず口に出してしまう程、このノートに書かれている戯言は馬鹿話が多かった。
……分かるか? 上見たいなクソの役にも立たないモノや、読んだ所で絶望しか湧かない設定のみで構成された文章を、直に目に入れる苦しみが。
碌な事が記されてはいないのだから、眩暈がするのも分かる筈だ。
そういえば、マリスの分は覚えなくてもよいのだろうか?
……聞いておくか。
「マリス、お前自分の力はどれだけ把握している?」
「……私についてならば、一言一句漏らさず記憶している」
「そうか」
なら『殺戮の天使・マリシエル』の項は飛ばしてもいいだろう。
では他の堕天使、及び聖天使たちの単純な能力や技の設定だけでも―――と目を通せば、有るわ有るわ無駄に書き連ねられた力の数々。
特にメープルとアイシャリア。
メープルは言わずもがなで、アイシャリアは『陣』と呼ばれる結界式の固有技が、冗談抜きで滅茶苦茶な数設定されている……何時使うんだよ、こんなバカみたいな数の能力。
先の見え無さに溜息を吐き、もう一度ノートを覗こうとした、その時だった。
「なんじゃこりゃ!?」
「あ?」
「……?」
楓子の素っ頓狂な声が響いたのは。
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