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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十三話:休息の一時
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刀一発叩きこみ、強引に後ろへ転がして知らん顔をする。
 どさくさに紛れたつもりだろうが、隠れていないしダダ黙れなんだよ。欲望が。

 まあ、この変態発言は兎も角、楓子は浮かれているのだろう。
 自分の描いた設定が現実に具現化し、こうして自分の家で共に過ごしているのだから。

 ぶっ倒れたデコ助は放置し、そのままマリスの腹をさする方に戻る。


「……大分、楽になる」
「そうか」


 感謝している所悪いが、俺とてこのまま摩り続ける気など無い。


「……」


 このまま此処に居て鳴るものかと考えを巡らせ、思いついた事を実行すべく恐らく三分ほど経ったのを見計らい――――


「シッ!」


 ―――僅かに下がってダッシュを掛けた。


「……あ」


 唐突な行動の切り替えに、まず体だけでは付いて来れない。
 だが問題はこの後……自由自在に蠢く髪の毛【鋼糸(スティール)鏖陣(ゴルゴン)】だ。


「……逃がさない」


 俺の期待通りに首、そして脚元へ走った “予感” に対処すべく、まずはダッキングで一波目を避ける。
 更に逆立ちに移行して第二波を回避。
 間を置かずに腕力で跳躍して第三波を、踏みつける形で第四波をやり過ごす。

 そして第五波目が来る前に、畝ってアーチを描いた青髪を掴む。
 そのまま引っ張ると横へと無理やり引きずった。


「……あうっ……苦しいのが再発して……っ」


 そうやって悶えている間に俺は早足で階段を上がり、自分の部屋への退避に成功した。
 俺の作戦、いや体捌き勝ちだな。


 ―――そう思い、油断したのが甘かった。


「……! クッ!」


 またも走った “予感” を受けて頭を下げれば、通り過ぎるのは輪を作った【鋼糸鏖陣】。伸縮自在なのだから、逃げた場所さえ分かればこんな事も可能なのだ。

 そう言えば、伸ばせる限界が《何メートルまで》かは書いていなかった。
 よしんば書いていたとしてもまだそこまでノートを読んでいない…………迂闊だった。


「チッ……ぬ……グッ!」


 ダッキングから側転へつなげ、地面に足を突くと同時に跳びあがって天井を蹴り、床に降り立つと不規則にダッシュ。
 無駄なまでにアクロバティックな闘争劇を経て、しかし段々と青き髪の毛で埋め尽くされている事から、逃げ場が無くなってくるのを俺は理解した。

 意地で勉強道具の身机から拝借するべく足掻くも、やはり駄目だと俺は苛立ちながらも諦め、髪の毛の作る網目の間を縫って一目散に廊下へ飛び出す。
 そして階段を使うのもまどろっこしいと、宙へと飛び出し階下へ跳び降りた。

 ズガン! と音を立て着地して、思う……よく
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