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《sword art online》 ~クリスタルソウル~
変化
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にドアを半開きにしつつ、振り返ったイヴは、最後にとんでもない爆弾をおいていった。
「ナオさえよかったら、今度から私の事お母さんって呼んでいいよ」
返事の変わりに全力で放ってやった枕は、空しくドアに当たって床に落ちる。急に静かになった部屋で、僕は大きな溜息をついた。
「僕と二つしか違わないくせに」
届くはずのない恨み言を言いながら、僕はベッドから床に降り立った。ベッドに机、本棚とクローゼットが入ってほぼ満員の部屋。簡素だが木造の温かい造りだ。微かに残るイヴの香りを意識しながら、僕は小さな窓を開け放った。
ざあっ、と心地よい風が頬を撫でる。
小高い丘の上に僕たちの家はあった。
そこは優雅な緑の曲線がつらなり、白い岩が貝殻のように散らばっていた。透明な湖を囲んで咲き誇っている花々は、虹色の色彩で世界を飾る。澄み渡った青空と、それらのコントラストは、“比喩ではなく”現実を超越した美しさだった。
「・・・・・・あれから一年、か」
柄にもなく窓からの景色に見入っていると、いろいろな事が頭を過る。
命がけの戦い、迷宮を彷徨った日々、モンスターの息吹。眩い銀色の輝きと、全てが変わった最悪の事件。
この一年間で起こった全ての出来事、その結果が現在の僕たちだ。どんなに苦しくても、過去をなかったことにはできない。しかしそれでも、デスゲームに巻き込まれる原因となったあの事件を、僕は後悔と共に思い出さずにはいられなかった。
それは綿密に準備された、無差別で理不尽な犯罪だった。
ソードアート・オンラインというネットワーク対応型のゲームがある。ただのゲームと思うなかれ。通称SAOと呼ばれるこのタイトルは、仮想空間を実際に走りまわり、剣を振るうことができるのだ。まさしくゲームの中に入り込んだかのようなインパクトに、僕を含め一万人のプレイヤーは夢中になった。
しかし、ある人物の狂気によって、楽しい筈のゲームは地獄に変わった。
SAOのディレクターであり、ヴァーチャル・リアリティ研究の第一人者、茅場晶彦。彼はプログラムをいじり、ゲームをクリアするまでプレイヤー達がログアウトできないよう細工したのだ。抵抗する術を持たない僕たちは、この時点で仮想空間の囚人となり、現実へ戻れなくなった。
しかも、この話にはとんでもないオマケがつく。
HPがゼロなったプレイヤーは死ぬ、というのだ。
プレイヤーを仮想空間に送り出すゲーム機・ナーヴギア。このマシンは電磁波の出力次第では脳を焼き切ることも可能であり、茅場晶彦はゲームオーバーになったプレイヤーをそうやって片っ端から殺していくと言った。嘘だと思ったが、彼の言う通りゲームオーバーとなったプレイヤーは二度と復活しなかった。つまりそういう事なのだろう。
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