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《sword art online》 ~クリスタルソウル~
変化
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、早起きすることはうんたらかんたら、人間の脳を活性化させるにうんぬんかんぬん、という御託があるらしい。

 どうでもいい。

 僕はかつて、そのように口を滑らしてひどい目にあった事がある。著しく機嫌を悪くした彼女が夕飯を化学兵器に作り替えたらしく、一晩中舌の痺れに苦しめられたのだ。痛覚を始め、苦痛を司る感覚はシャットダウンされているわけだから、あの味付けはまさに「苦痛の一歩手前味」といったところか。

 その一件以来、彼女に逆らう気力は完全に消滅した。家事の全てを担当している彼女は、やろうと思えばいくらでも制裁を下せる立場にある。
 それが嫌なら戦闘フォーメーションよろしく家事も役割分担すればいいだけの話だが、壊滅的に何もできない僕に彼女が業を煮やした結果、このような形に落ち着いてしまったのだ。
 つまり、役立たずの男には最初から人権などあるはずもなく、僕はこの年にして家庭における男女のパワーバランスの実態を知る羽目になった。

「あ、起きた。おっはよぉ〜」

 おそらく、複雑な顔をしていただろう僕の事など歯牙にもかけず、彼女は満面の笑みで言った。
 僕から見て二つ年上のイヴ。一年前の出会った時とは打って変わり、あの少し悲しげな雰囲気はもうない。イヴは朝日に輝くリンゴのように明るく、綺麗な少女になった。プラチナブロンドの髪をショートヘアにし、Tシャツにホットパンツという格好は以前と違った魅力がある。なにより変わったのは、その笑顔だ。嬉しくてたまらない、といった感じでキラキラ光るイヴは、いつもよりずっと可愛らしく見えるのだ。

「・・・・・・おはよう、イヴ」

 しかし、こんな風に絡まれている時はその限りではない。僕は布団を抱きしめながら唸るように挨拶した。

「あれ、不満そうじゃない? せっかく美女が起こしに来てあげたのに」

「まさか。うれしいよ・・・・・・ただ」

「ただ?」

 彼女は子供がするように首をかしげる。今はその仕草が憎たらしい。

「もうちょっと、寝させてくれないかな? せめて七時まで」

「ダメ」

 即答だった。予想はしていても、それなりに絶望した僕はベッドの上で脱力する。7時でも充分早いように思えるのだが、そもそも感覚自体が彼女とはずれてしまっている。イヴからしたら、僕は堕落や不摂生の権化ように見えているに違いない。

「七時は早起きとは言いません。我が家の家訓は『早寝早起き朝ごはん』」

「それ、初耳なんだけど」

「今決めました。家訓は絶対だから、ナオも肝に命じてね」

 僕は再び目をつむり、黙想する。
 とうとう家訓まで勝手に決められてしまった。これ以上どんな決まり事を増そうと言うのか。よく言えば面倒見がいい、悪く言えば口うるさい。家の中にいるイヴは
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