流転
異端審問官との決別U
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力がヴラドの魔力とぶつかり合い、ついに部屋全体が震え始め天井よりばらばらと塵が降り始める。
「変わらんよ。いつまでも主は小娘のままだ。物事の理解せず、ただ直情的にそうして向かうところもな」
焼き払われた触手が再び形作られ、彼女へと襲いかかる。
きりがなかった。
切り裂いても、焼き払っても、無限にわきだす触手。
彼女は彼を殺すどころか、近づくことすら出来ない。
「理解せよ。その力を…主の目的の先には待つものを」
触手を相手するアーシェの両脇に出現する魔方陣。
青白く発光したかと思った次の瞬間、漆黒の光が彼女へと向かい両方から同時に放たれる。
「反応が…ッ」
一瞬の反応の遅れだった。
彼女の身体が光に飲み込まれる。
アーシェッ―――。
私の身体は重圧から解き放たれていた。
駆け出し、倒れこむ彼女へと駆け寄る。
「くっそ………」
瀕死とまではいかないがかなりの重症だった。
身体中から血が流れ、痛みに顔を歪めている。
これは、必要な事なのか―――。
「必要ではない。いっただろう…戯れだ、と」
ヴラドの言葉に、私の中で何かが切れ、弾けたのを感じた。
悪戯に傷つけるなど―――。
貴様も奴等と同じだ、ヴラド―――。
私は剣を抜いた。
異端者殺しの剣を。
抜き放ち、ヴラドへと真っ直ぐに向ける。
相手しよう―――。
「そうこなくてはな。主の力を…終末へ向かう世界を救うだけの器か見せてみろ」
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