第二百二十五話 馬揃えその十一
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「澄んだもの程濁るものだからのう」
「ではその二人をですか」
「織田信行や浅井久政の様に」
「あの愚かな公方の様にですな」
「我等の傀儡としますか」
「そのつもりじゃ、手は幾らでもある」
それこそというのだ。
「それを使って織田家、ひいては織田信長をな」
「滅ぼす」
「そうしますな」
「必ず滅ぼす、織田家も織田信長もな」
「御前自ら」
「その為に動かれるとは」
「闇の長の力を見せてもやる」
老人の声はこうも言った、そうしたことを言いつつだった。馬揃えの後どうするのかを考えていた。素子tてだった。
老人の声は周りの者達にだ、確かに告げた。
「徳川については直接仕掛けぬ」
「あの家にはですか」
「そうされますか」
「うむ、しかしあの家を分けてじゃ」
そしてというのだ。
「そのうえで争わせ力も結束も狂わせる」
「徳川家はまさに磐石」
「主徳川家康の下に万全の結束ですが」
「その結束をですか」
「狂わせますか」
「そうじゃ、どの様な結束でも乱れる」
老人の声はこのことを確信していた。
「それでじゃ」
「徳川家もですか」
「乱しそのうえで」
「必ずですか」
「あの家を弱めますか」
「織田家を除いては第一となった家を」
「うむ、あの家を乱し弱めしかも織田信長の目を徳川に向けさせそのうちに織田家を乱す毒を撒く」
そこまで考えてのことだというのだ。
「その為にもな」
「まずは、ですな」
「徳川家に」
「あの家に仕掛けまするか」
「そうじゃ。まあ松永めが死に松永家の者達の行方がわからぬ様になったことはな」
不意にこの名も出した。
「それは誤算じゃったがな」
「その松永家の者達ですが」
「行方がわかりませぬ」
「一体何処に消えたのか」
「何処に行ったのやら」
「わからぬか」
老人の声も口惜しそうに言った。
「その行方は」
「どの者もです」
「ようとしてです」
「わかりませぬ」
「まるで幻の様にです」
「消えております」
そして行方がわからないというのだ。
「我等の目を晦ますとは」
「よくぞ出来たものです」
「しかし逃しませぬ」
「その行方、必ず突き止めまする」
「いや、今はよい」
老人の声は周りを止めた。
「今はな」
「と、いいますと」
「それは何故でしょうか」
「一族から抜けるなぞ許されぬこと」
「それでもですか」
「あの者達のことは後でよい」
そういう意味でいいというのだった。
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