第三幕その五
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「中に入られないからね」
「だからですね」
「僕が鍵を開けるよ」
「それで客室に入って」
「そのうえでね」
そうしてというのです。
「皆で行こうね」
「そうですか、それじゃあ」
「皆ここで待っていてね」
魔法使いが客室に乗り込む為の扉を開けるまでです。勿論そこに操縦室もあります。食堂やそうした場所もです。
「少しだから」
「はい」
五人で魔法使いに頷きました、そしてでした。
魔法使いが扉を開けてです、皆そこに乗り込んで。
それからです、扉を閉めてでした。
飛行船はお空をゆっくりと上がりはじめました、オズマとかかし、木樵そしてモジャボロとジュリアが皆を手を振って送ります。
その皆に手を振って一時のお別れの挨拶をしてでした、それから。
王宮が点にしか見えない高さになってからです、ドロシーが五人に言いました。
「それじゃあね」
「はい、お空の旅がはじまりましたね」
「遂に」
「そうよ、気分はどう?」
そのお空の旅がはじまったそれがというのです。
「今回の旅がスタートして」
「ううん、いつも歩いてはじまってまして」
「飛んではじまるのははじめてですから」
「言われてみると不思議ですね」
ジョージと神宝、カルロスの男の子三人が答えました。
「何ていいますか」
「普段と違って」
「こうしたのも面白いですね」
「私もよ、私も大抵は歩いてはじまるわ」
その冒険がというのです。
「けれどね」
「こうして飛んでのはじまりも、ですね」
「面白い」
「そうなんですね、ドロシーさんも」
「いつもと違うことも楽しいわ」
実際にというのです。
「こうしたこともね」
「ではその楽しい旅を」
「今からですね」
「楽しむんですね」
「あの、何かこの飛行船って」
「揺れないですね」
ナターシャと恵理香はドロシーにこのことを尋ねました。
「風があるでしょうけれど」
「その中にあっても」
「揺れないですね」
「落ち着いていますね」
「そうよ、この飛行船は揺れないの」
「じゃあ安心して、ですね」
「お空の旅が出来ますね」
揺れるその心配がなくとも、です。二人はそう聞いて安心して笑顔になりました。
「船はよく揺れますけれど」
「この飛行船は、ですね」
「揺れなくてですね」
「落ち着いて旅が出来ますね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「安心して旅をしましょう」
「わかりました、それじゃあ」
「まずは雲の上まで」
「ゆっくりと行く」
操縦をしている魔法使いは皆にこう答えました。
「この旅はね」
「急がずにですか」
「ゆっくりですか」
「うん、そもそもこの飛行船はスピードはあまり出ないから」
このこともゆっくりと行く理由だと
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