第十六話 交わる剣と身体
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件を済まさせてもらいます」
己の右手は左腰に吊るされた相棒に触れる。
柄を握り、夜の暗さに負けない鉄の輝きを放つレイピアを抜剣。
その切っ先をーーーリュウヤに向けた。
「これで、分かりましたか?」
「お前の用件とやらか」
切っ先を向けられてなおリュウヤから一切の動揺を感じられない。
それは彼の異名にも関係するのだろうか。はたまた彼の地なのか。
そんな思考が出てくるのを阻止し、アスナは言った。
「そうです。わたしは、あなたを捕まえに来ました」
「ほ〜ん、なんの容疑で?」
「ずっと前から、中層や下層で高レベルプレイヤーが現れるとの報告がありました。それだけなら特に動く必要もないと思ってましたけど、あんな話を聞けば動かずには入られませんでした」
一旦言葉を切って、アスナは続けた。
「ダンジョンに赴くプレイヤーたちを排除し、その場を荒らして帰るという輩がいると。その人の特徴があなたと一致しているのです」
「そんなこと、どこでも起きてるような案件だろ。なぜにお前が、しかも一人で出てきた?」
うっ、とアスナは言葉に詰まった。
この事に関して一番聞かれたくないことを聞かれてしまった。
確かにそういう話はたびたび聞こえてくる話ではある。けれど攻略組はそれを一つずつ対処するほど善良な集団ではないのだ。
それにその手の話は基本、嫉妬や妬みからくる話であり、加えて攻略組のプレイヤーがそれに関与しているということはまずない。
そんなことをしているヒマがあるのなら迷宮に潜ってレベリングでもするのが攻略組である。
だから初め、アスナも気にしなかったが、目撃情報の人物の特徴を見ていると、一人の顔が浮かんで来た。
こんな事件、ギルドの団員を動かせるハズもないし、動かそうとも思わなかった。
その理由を、アスナは少々いじけたように吐露した。
「……あなたの知り合いとして、見逃すわけには行きませんから」
「…………!」
少なからず驚きを見せたリュウヤにアスナも内心驚いてしまう。
そんなに意外だったのだろうか。自分がそういった感情を持っていることが。
とりあえずその考えは頭の隅に追いやり気を取り直してアスナはもう一度警告した。
「だから、捕まっていただきます。おとなしくしていてください」
言ってリュウヤに近づこうとしたアスナはしかし、リュウヤの表情を見て固まってしまった。
険しいなんて表現が甘く思えるほどの鋭い視線。
その目だけで人が殺せるのではないかと思える表情にアスナの体は完全に動かなくなっていた。
そしてリュウヤは組んでいた腕を解き、いつの間にか手にしていた武器をーーー投擲した。
それは一瞬の出来事。
ライトエフェクトをまとう
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