第十六話 交わる剣と身体
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うくらいイケメンだからさ。アスナが惚れるのもムリねえよ、うんうん」
「……違いますってば」
「けど残念。こんなイケメンな俺でもアスナとは釣り合わないのさ……。ごめんな、その気持ちは胸の奥にしまっといてくれ」
「違います」
「でも、君の気持ちだけは受け取っておくよ。それで勘弁してくれないか?」
「もうっ!違うって言ってるでしょう!?」
なんども否定しているにもかかわらず勝手に進むリュウヤの話についに耐えきれずアスナは声を張り上げてしまった。
ハッとして口元を押さえたがもう遅い。
リュウヤがしたり顔でアスナを見ていた。
「そうそう、それくらいの勢いがないとつまんねえよ」
「あなたね……」
「はっはっは、呆れるなんて今更だろ」
変わらないリュウヤの開き直ったような態度に頭を抱えたくなるアスナ。だがそんなことで挫けてはいられない。
元々リュウヤ相手にすぐ話が通じるとは思っていなかった。気を取り直してアスナはぐっと背筋を伸ばした。
「アスナさんや、そんな気を張り続けるこたぁねえよ。疲れないの?」
けれど、そんなアスナに先んじてリュウヤが口を開いしまった。
彼の話に付き合う義理はないし、そんなことをしに来た訳ではない。
だから一々反応してはいけないと分かっている。
だが、なぜだろう。
話をしようとする自分の口が、動かない。
「まあなんか気が変わるようなことでもあったんだろ。お兄さんに話してみそ。聞いてやるから」
あくまで人の話を聞こうとしないリュウヤ。
けれど彼が持ち出した話を、アスナは無視することができなかった。
なぜなら、それはアスナの本心を捉えた一言だったから。
核心を突かれたアスナは、もはや反射とも言える反応で重い口が開いた。
「あなたには関係ないっ!攻略しないで遊んでるようなあなたにはっ!」
心情の吐露、暴言であって癇癪に見えさえするアスナの行動をリュウヤは腕を組んで黙って見ていた。
久しぶりに本心を吐き出したアスナは体に力が入らなくなりそうになるのを我慢した。
ここで倒れていたら何をしに来たのか分からなくなってしまう。
閉じられた言葉の門の前で、森は静かにそれを見守っているように見えた。いっそ不気味なほどに。
リュウヤを相手にする時はいつだってそう、自分の心が揺さぶられる。
作られたポーカーフェイスは意味もなく崩され本心を暴かれる。
だから、彼を前に取り繕うのはムダなのだ。
こちらの動揺は隠せない。ならばもうそれはそれでいい。それを知られてもなおやらなければならないことがある。
アスナは気持ちを切り替え、浅く息を吸って揺れる門を開いた。
「これで気が済んだでしょ。だからこちらの用
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