8部分:第八章
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ます。これでも法皇様より直々に任じられた退魔師なのですから」
「そうなのですか」
どうやら神父というのは仮の姿らしい。それにしても退魔師とは。噂には聞いていたがまさかこの目で見るとは。
「貴方は狼についての知識を私にお教え下さい。出来れば思い当たることも知らせて頂ければいいですが」
「それだけですか?」
僕はその要請が存外にささやかなものであったのでいささか驚いた。
「はい。魔物を倒すのは私の務めですから」
真面目な宗教関係者の共通点だろうか。自分が進んで仕事をしたがる。その為に周りが見えなくなることも度々だがそれはご愛敬というものであろうか。僕はこうした人が結構好きである。
「それでしたら喜んで」
僕は笑顔で彼に対し言った。
「有り難うございます」
神父はやはり微笑みでもって返してきた。僕はその言葉を彼と同じく微笑みで受け取った。
僕はとりあえず教会を後にした。そして森に戻った。
「ただの旅じゃなくなっちまったな」
僕は森に入り苦笑した。まさか魔物退治に協力する破目になるとは。
「けれどこれが運命なら仕方が無いか」
そう言って森の中を進んだ。これは先祖代々からなのだろうか。どうも僕は何でも楽天的に考えてしまう。親父やお袋も
そうだ。一家全員が楽天的である。
本来なら化け物を相手に戦うのである。命の危険がある。逃げ出してもおかしくはない。
しかし余裕をもって神父に協力している。死ねばそれまでだとも思っていた。
先程死体があった場所に行くと警官達がまだいた。残って捜査を続けているようだ。
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