流転
異端審問官との決別T
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アルバートの言葉に、私は予想は出来ていたものの困惑を隠すことは出来なかった。
突拍子もない話だ。
今から私は私で無くなるというのだから。
「抵抗があるのは承知しているが、これが最善の策ではないかと儂は思うがのう」
ヴラドは私の肩に手を置くと、にやりと笑みをこぼす。
「儂とそこの女の能力を秘めた素体じゃ。そこらの同胞からみたら喉から手が出るほど欲しいものじゃ。これを幸運と言わずになんと言うのか」
「あなたの細胞は劣性遺伝子でしょうけどね」
悪態をつくアーシェをヴラドは睨むも、アルバートの厳しい眼光に彼は押し黙る。
異端者となることに抵抗はない―――。
しかし、なぜ私にここまでするのだ―――。
「なに、戯れじゃ。主を信用したとかそのような綺麗な理由などない」
ヴラドはホムンクルスへと近づき、その顔を見下ろす。
「何百と年を越え、混沌へと向かうこの世界に主とこの身体を送り込んだとき、世界はどのように変革し、どのような結末を迎えるか見てみたいのじゃよ」
玩具を見るかのようなヴラドに、嫌悪感を隠すこと無くアーシェは侮蔑の目を向ける。
「あなたの暇潰しに付き合う気は無いわ。私は…私達は私達の目的のためにこれを使うのよ」
「無論、好きに使うが良い。儂は傍観者じゃ」
「随分と余裕なのね。この身体があなたを殺すかもしれないわよ」
アーシェの言葉にヴラドは笑う。
「それも一興じゃ。儂を殺せる者ができるとは願ってもないことじゃからのう」
絶対的な自信があるのだろう。
おそらく、この身体では彼を殺すことは出来ない。
それはアーシェの表情から容易に読み取れた。
口論にすらならない。
彼女は悔しさからか唇を噛み締めていた。
それで、私はどうすればいいのだ―――。
覚悟は決まっている。
私は人のままだろうと、どのようになろうと最早異端者と代わりないのだから。
「主は本当に…。いや、つまらん小言はやめようかの」
ヴラドはアルバートに指示し、魔方陣へと何かを施させる。
鮮やかな光を放ち出す魔方陣。
それを確認すると、ヴラドは私を真っ直ぐと見据えた。
「さて、説明しておこうかの。まず、この魔方陣は身体より抜け出た魂を無理やり現世へと留まらせる結界じゃ」
話しながらヴラドはその華奢な身体で軽々と寝床のホムンクルスを抱き抱え、魔方陣の中央へと置くと説明を続けた。
「この結界のなかで転魂の儀を行い主の魂を素体へと移し変える。簡単な作業であろう?」
「重要な所が抜けているけれど」
アーシェの指摘に鼻で笑うヴラド。
「忘れていた訳ではないわ。ついてこい」
ヴラドは私の脇を抜け部屋を出る。
彼
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