―真実を語る者の謎―
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ミスターTと名乗る男はそう言って腕を突き出すと、その腕が黒く染まったデュエルディスクへと変化していく。やっぱりこうなるのか、と内心苦々しげに思いながら、俺はベッドから起き上がる。その近くに置いてあったデュエルディスクを装備し、差してあるデッキが自身の【機械戦士】であることを確認し、デュエルの準備を終わらせる。
「出来るかな? 今の君のデッキの状態で」
「何……?」
デュエルディスクを展開させたものの、ミスターTと名乗る男はこちらを値踏みするように薄く笑う。【機械戦士】がデュエル出来るような状態か、という謎の問いが発せられる。
「君は感じられるか? 機械戦士たちの存在を。共に戦ってきた仲間たちの鼓動を」
「――――」
――デュエルモンスターズの精霊、などというオカルト的なものとは関係なく、デュエリストとデッキには信頼関係がある。自身が組み上げたデッキに対する信頼感、それがなければどんなに強いカードがあろうと、その真の力を発揮することはない。加えて、カードの精霊の存在……俺にその力を感じることは出来ないが、その存在は俺を支えてくれていた。
――それが、まるで感じられない。
「異世界で死んだのだよ。君と機械戦士は」
「う――」
「私は真実を語る者。そこから目を背けることは出来ない」
嘘だ、という前にミスターTから痛烈な宣言が響く。その言葉は事実とともに俺に刻まれていき、デュエルディスクに差し込まれている機械戦士を見ても、そのデッキは何も応えてくれない。俺は――
「遊矢!」
――その叫びとともに、保健室の扉が無理やり開かれる。ミスターTは素早く俺からその乱入者へと対応を変え、俺とのデュエルの準備は中断される。
「十代……?」
その乱入してきた人物は、あの遊城十代そのものだった。変わったところと言えば、背丈と真紅に染められたデュエルディスクのみ。それでも俺の言葉の最後に疑問符がついたのは、今までの十代のイメージと目の前の十代が異なっていたからだ。具体的にどことは言えないが、強いて言うならば。
『デュエル!』
――その戦士のような眼光か。
十代LP4000
ミスターTLP4000
「私のターン」
そして俺などもはや眼中にないかのように、十代とミスターTのデュエルが開始され、ミスターTが先手を取る。あのミスターTと呼ばれる人物は何者なのか、十代に一体何があったのか――それらはまだ俺に知る由はないが、どうやら二人は敵対しているようで間違いない。
「私はモンスターをセット。さらにカードを一枚伏せてターン終了」
「オレのターン、ドロー!」
その不気味さを表すように、ミスターTはモンスターと伏せカードをセットしたのみ
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