幻影-イリュージョン-
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せながら頭を悩ませる。最もハイジャックなど、彼の元の職業を考えると間違ってもできないのだが。
「しばらくはこの街にご滞在かもしれないね。ったく、旅費がかさんじまうよ」
マチルダはケチくさくぼやいた。子供たちを育てるためにため続けてきたお金を旅費などという本来使わないはずの用途で使っているのだから、できれば節約しておきたかったことが伺える。
「…しょうがないね、一度出直すとしようか」
ここで留まってもここを職場とする人たちの邪魔にしかならない。マチルダの提案で、一行は一度港から離れることにした。
どうしたものかと、シュウも困った。テファたちの安全を極力安全に確保するためにも、この国を脱出しておきたい。
(平賀に連絡を入れてみるか?アスカのことも知らせておくべきだろうし…)
いや、だめだ。シュウはサイトへの連絡を考えてみたがすぐに首を横に振った。
(連絡を入れたとして、あいつのウルトラホークとやらをわざわざこちらによこしてもらっても、ウルトラマンへの変身による脱出を図ることと危険度は変わらない。かえって奴に迷惑をかけるし、いらない心配をかけることにもなる)
だったら、相当の局面にならない限りは自分たちで解決しなければならないということだ。
しかし、そうなるとアルビオン脱出の手立ては完全に封じられたも同然だ。どうしたものか…。
「…やむを得ないな。この日はどこかで宿を取るしかない」
シュウは苦い顔を浮かべながらも、ここは一度船が出向可能になるまで留まることを選択した。
「かえってちょうどいいのかもな。みんな馬車で揺られて疲れてるかもしれないし」
「兄ちゃん〜僕疲れたよ…」
「眠い〜…」
そういってアスカは子供たちの方を見やる。見ての通り、子供たちは馬車に揺られて疲れていたようで、ひとまずここで休息をはさむことになった。
「うん…?」
ふと、テファは港の下に、巨大な船があるのを見つける。
その船の様式は、連絡船や、今船着場に繋げられている船とは様式が大きく異なる。船の外観に刻まれた彫刻が、あたかも炎を象徴としているようだ。
「あの船はなんですか?」
「ああ、王党派と一緒にレコンキスタに反逆していたって噂の『炎の空賊』の船だそうだ。『アバンギャルド』って言ってたか。アルビオンがタルブに侵攻する前に空賊から接収したとか」
「炎の空賊…」
その空賊たちとは縁がない…いや、たった一つだけあった。シュウは、恐らく今頃、ラグドリアン湖で身分を越えた友の眠りを守っている炎の用心棒を思い出す。ウエストウッドにサイトたちが突然来訪した時、炎の空賊たちがアルビオンの王党派と結託していたことは聞き及んでいたが、やはりウェールズが一度誘拐されたことがきっかけで空賊団も解散に追い込まれたのだ。
「シュウ、あの船に興味があるの?」
「…さてな」
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