暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
幻影-イリュージョン-
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後はここから船に乗せてもらい、トリステインに逃げ込む。それが今の彼らの方針だった。
マチルダはトリステイン行の船がないか、せめて別の船着き場へと向かっている。できれば全員乗せていけるだけの便を願うばかりだ。
ロサイスを出ようとシュウたち一行は桟橋に向かった。
レコンキスタのせいでアルビオンとトリステインの仲は過去最悪なもので、当然自国からの脱走者の中に重要人物や弱みを握っている人物の逃亡を阻止しようとする者、トリステインとしてはスパイが紛れ込んでくることがないように厳重な検閲体制をとっているはずだ。
しかし、だからといってそれぞれの国から脱出することが完全にできなくなったわけではない。商人たちはまだ商売のために互いの国を行き来している。中には王党派とレコンキスタの戦争で怪獣が用いられたこともあって、難民たちが船でアルビオンを抜けることもある。また、他国からの諜報員がまぎれていることなんてこともあるだろう。
まだアルビオンとトリステインのタルブ村で激突してから日が浅い。港が完全に封鎖される前に、商売人か難民のための船、せめてトリステイン以外でも、どこか地上に降りていける船がないかと思っていたのだが…。
「船が出せない?」
「悪いな、実は軍の連中が『アルビオン大陸上空に異常を感知、住民の安全のため船の出港を明日以降にするように』とか言ってきてよ。混乱をこの街の中だけに収めるためにこの日の便は出さないことにしたんだ」
「まずいわね。ただでさえあたしたち…」
怪獣を差し向けてきた怪しい奴に村を襲われたばかりだ。出港した船と乗員の安全のために船を出さないという船乗りの意見はわかるが、一刻も早くこの国から脱出しておきたい。
「この先はさらに警戒が厳重になるだろうな」
シュウも表情にわずかな険しさを露にする。この状況が続けば、いずれ港そのものがは現在のアルビオン政府であるレコンキスタによって完全に封殺されてしまう。
「それに、私はハーフエルフ…」
「そればかりは仕方がないさ」
自分がハーフエルフであることは、エルフを疎ましく思うこの大陸において皆を人種・宗教的観点から危険に晒してしまうこともある。検閲がヤワな内に通りたかったが…テファが申し訳ない気持ちを口にすると、すでに慣れていたマチルダは気にしないようにいった。
最後の手段として、ウルトラマンに変身しみんなを手のひらに乗せていくという手もあるが、その手口は目立ちすぎる。シェフィールドが見逃すはずもないだろう。人の身のまま、なるべく隠密に脱出しておきたい。幸い奴のガーゴイルも追ってきていないようなので、船さえ出してもらえさえすればよかったのだが、船を出してもらえないのではまずい。
「ハイジャックするわけにもいかねえしな」
村でのいきさつは先日までの間に聞き及んでいたアスカも冗談を混じら
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