幻影-イリュージョン-
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るはずがなかった。戦いで死ぬことよりも、こうして戦い続けるせいでテファたちの心を傷つけることになるとしても…。
戦いを止めたら、今以上に自分が許せなくなる。
「…それより、そろそろ離れてくれないか?暑いんだが…」
「へ?あ、ああ!!」
そこでようやく気付いたテファは悲鳴のような声をあげ、顔を真っ赤にしてシュウからそそくさに離れた。
(そんな顔は止めてくれ。俺まで奇妙な気恥ずかしさを覚える)
そんな彼女の反応に、自分でも不思議なくらいシュウも直視ができなかった。なんか気まずくて口がきけなかった。なら違うことを考えて…。
と、ここでシュウは自分たち気が付いた。
自分がたまに着こむ隊員服とはまた違う模様の軍服を着た男が馬車に搭乗している。
嫌なところを見られたものだ、男の微笑ましげな笑みがどこかニヤついていて憎い。
「あなたは…」
見知らぬ男への警戒心を抱き、誰だ?と尋ねようとしたが、すぐに男が何者なのかを悟った。
「俺はアスカ・シン。君は…シュウ、だったな。俺と同じ…」
「同じ…?…ッ!」
それを聞いて、彼は即座に気づく。この男が自分と『同じ』であることに。同時に、警戒を露にし、目つきを研ぎ澄ませた。
「お、おいおい!何でそんなに睨むんだよ!俺たちは…」
「…『同じウルトラマンだろ?』…か?」
焦るアスカの台詞を先んじてシュウが言う。
一瞬、根拠はないがある悪い予感がよぎった。あのアスカという、サイトや自分と同じくウルトラマンの力を手にした男だ。
「し、シュウ…この人は私たちを、あなたも助けてくれたのよ?」
アスカがシュウを助けてくれた。なのに、彼が助けたはずのアスカに警戒心を露にしていることに、テファはおろおろする。
「…一度は助けられた、そのことについては感謝すべきだろう。だが…俺がこの男を信用する理由にするべきじゃない。ついさっきの戦闘がいい証拠だ」
サムの一件もあるし、サイトのように新たに見つけたウルトラマンが自分たちの味方であるとは限らない。彼の故郷ではウルトラマンもまたネクサスを除いた個体全てが敵だったがための警戒だった。現に、既にファウストにメフィストといった奴らと飽きるほど戦った。メフィストとの戦いにいたっては、アンリエッタを利用した姑息な手口を使われたことだってある。場合によってはサイトにも連絡しなければならない。
その警戒については、マチルダも内心では納得していた。裏の世界で生きてきた身だ。裏切りや腹の探り合いなど慣れっこだ。シュウの警戒も妥当の判断だと信じて疑わなかった。
「困ったな……」
とはいえ、それはアスカにとって困惑の種でしかない。彼は頭を掻きながらぼやいた。どうも、あの黒いウルトラマンと同じ様な奴の可能性を危惧されているようだ。
「アスカとかいったね。あんた、シュウとよく似た名前
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