幻影-イリュージョン-
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が募る。
「おいおい、俺にそんな気遣いは無用だぜ。俺はいつでも準備OKだ」
自分もやる気十分であることアピールするアスカが言うと、ノスフェルが街のほうに入り込んでいく。
しかし、妙なことが起きた。
ノスフェルの姿が、消えた。そして次の瞬間、別の怪獣が姿を現した。
(何…?)
ノスフェルに変わって出現したのは、村を襲った怪獣ムカデンダーだった。
これは一体どういうことだ?怪獣が、全く異なる生物に変化…いや、入れ替わっているようなこの現象に違和感が募る。
「ムカデの化け物が…どういうことだ」
「ムカデ?俺には、ネオダランビアに見えるぜ」
「は?」
だがそれだけではなかった。シュウの目からは明らかにムカデンダーの姿をしているのに、アスカの目には全く異なる姿の怪物が映っていたのだ。
「あたしには、足の方に頭がついて、頭に尾が二つ生えた化け物に見えるけどね」
一方でマチルダはというと、かつて魔法学院から破壊の杖を盗み出そうとしたときに遭遇した怪獣ツインテールに見えていた。その怪獣にはシュウも当事者だったから見覚えはあるが、同時に奇怪に思う。
(どういうことだ。人によって、ビーストの姿が異なって見えている…?)
そうとしか思えない。自分たちの見えている怪獣の姿がそれぞれ異なっているとは。
本当に、何が起こっている?
疑問に思っている間に、彼らがそれぞれ違う姿に見えていた怪獣は、突如その身を黒く染め、崩れ落ちた果てに跡形もなく消えた。
「き、消えた…」
ただ人を怯えさせるだけ怯えさせ、そのまま消えてしまった怪獣。自分たちにはそれぞれ違う怪獣同士に見えていたという奇妙な現象。
今度は一体何が起ろうとしているのだ?
募るばかりの疑問を、シュウは抱くばかりだった。
シュウやテファと年齢が近しく見える一人の少女が、そんな彼をじっと見ていた。
その少女を起点に、また新たな事件が起きることを、知る由も無かった。
風に吹かれ、ゆらゆら揺れながら、一輪の白い花が少女の傍に咲いていた。
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