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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
幻影-イリュージョン-
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を振り返ることがないまま歩き去っていく。その姿を彼は見ていたが、その目つきは異様だった。一目惚れだなんてくだらないレベルの話じゃない。
信じられないものを見るあまり、驚愕を隠しきれずにいた。
「シュウ…?」
気になって顔を覗き込んできたテファにも気づかない。彼は目を擦って自分が見たものを確かめる。
目を擦っているシュウは再び目を開けた時には、すでに彼が見つけた少女の姿はどこにも見当たらなかった。
「何か気になるものでも見てたの?」
「…いや、別に…」
そういって気にしてない振りをした。
(…今通りかかった女の姿……いや、まさか…そんなはずない)
でもその一方で、先ほど自分が見たものに対する奇妙な感覚が、まるで拭えなかった。
「なんだよシュウ、まさか…近くにこんな地の果てを巡っても巡り会えないほどの可憐な美少女がいるのに、街の女に目移りしてたのか?」
からかい半分呆れ半分でアスカがやけにニヤニヤ面を露わにし、こいつがいることを忘れるなとい言いたげに言った。
「あ、アスカさん!」
いきなり何を言い出すのだと、明らかにわざとからかってきているアスカにテファは顔を赤らめた。
「人の妹にいらんことふかなくていいんだよ!」
「痛ッ!」
マチルダは目くじらをあからさまに立てて、アスカの頭を小突いた。自分がからかう分は許容できても、他人の場合となると話が違った。
「からかわないでくれ」
一方のシュウはというと、さらりとかわして少女の去っていった方に視線を向けたときだった。
「うあああああ!!」
突然悲鳴が轟き、テファや子供たちが身をこわばらせる。シュウとアスカ、マチルダは視線を悲鳴の聞こえた方へと泳がせる。
街の人が、いつぞや…何度も見た時のごとく逃げ惑っている。彼らが逃げてきた元の方角をたどりながら見ていく。
「か、怪獣が…!?」
その先にいた巨大な影を見て、テファは思わず声を漏らした。
「…!!」
子供たちは互いに、またはシュウたちの中ですぐ近くに立つ大人たちの影に隠れたり服を掴んだりして少しでも恐怖を紛らわそうとした。
現れた怪獣は、ノスフェルだった。
「性懲りもなく…」
もう3度以上もあのおぞましい顔を見た気がする。なおかつしつこくて腹も立つほどだ。あんな怪物の前に子供たちを立たせるわけに行かない。早速彼はエボルトラスターを取り出した。それを見てテファが青ざめ、引き止めるかのように彼の手を掴んだ。
「また…行くの…?」
危なっかしすぎるシュウの戦いと先日の敗北が重なり、彼女の心を不安が支配した。
「仕方ないだろ。客人であるアスカの手を煩わせるわけにも行かないし、だからといって俺が出なかったら誰がやるんだ?」
「それは、そうだけど…」
不安がまったく消えてくれない。こうして1秒が過ぎるだけで不安ばかり
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