第六十一話
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見つめるだけで襲ってくる事は無い。
「アオさん、これは…」
「クゥの時と一緒じゃないかな?」
「ですよねっ!って事は何か食べ物系のアイテムを…って!ドラゴンって何を食べるのっ!?」
想像上の生き物が何を食うか何て普通は知らないよ。
ハルケギニアの時に見たドラゴンは肉食と言うか雑食だったし。
「取り合えずそれっぽい物を…」
あうあう言いながらもアイテムストレージからポイポイそれっぽい物を取り出しては差し出しているシリカの慌てっぷりがかなり可愛い。
いくつも取り出したアイテムのうちで、その小竜が反応した物があった。
「きゅるー」
「あ、食べましたよっ!アオさん、見てください」
はいはい、見てますよ。(シリカを)
「コレで索敵画面の光点の色が変わればテイミング成功…っと、どうやら大丈夫なようだね」
光点の色が変化したのを確認すると同時に、小竜がシリカの方へと駆け寄りシリカはその小竜を抱き上げた。
「わっ!ふわふわです。クゥもふわふわだけど、この子もかなりふわふわです!」
それは良かった。
「よろしくね、ピナ」
「ピナ?」
「この子の名前です」
なるほど。
「よろしく、ピナ」
俺は新しく仲間になったピナにそう言うと、ピナもよろしくとばかりにきゅるきゅる鳴いた。
現在ホームタウンにしている第八層主街区にピナを連れて戻ると、モンスターをテイミングしてきたシリカから情報を得ようと集まったプレイヤーに囲まれて動けなくなると言う俺も経験した事態を何とか収束させると日はとうに傾いていた。
もみくちゃにされて人酔いしたのか、ふらふら千鳥足気味に何とか宿屋に戻り個室に篭り一息ついたシリカがそんな風な愚痴を漏らした。
「それで?ピナは何が出来るんだ?」
ついでに言うとクゥはウィンドブレスと連れ歩くだけで索敵と隠蔽能力にプラス補正が掛かる。
「さあ?ピナ、何が出来るの?」
「きゅる」
ひと鳴きすると口から泡のようなブレス攻撃が宿屋の壁に向かって放たれた。
破壊不能オブジェクトだし、弁償の心配はないのだが、やるならやると言って欲しい。…無理だろうけど。
「凄いよピナっ!他には?」
「きゅるーる」
先ほどとは違う柔らかなシャボン玉のようなブレスがシリカに当たり、シリカを包み込む。
「コレは?」
その時は分からなかったけれど、どうやらテイマーへのヒール補助らしかった。
魔法のないこのSAOでは珍しい部類の能力だろう。
「きゅるー」
「なーぅ」
じゃれ始めたピナとクゥを見ながら、頼もしい仲間が増えたと再認識したのだった。
◇英雄になりたかったとある転生
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